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時速1kmの思考

もはやフグ超え? カワハギ【皮剥】の刺身

カワハギ

「ヘタな河豚よりカワハギのほうがうまいよ」と教えてくれたのは御年70になる板長だった。二年前に、醤油でといたカワハギの肝をフグ刺しにつけて食べさせてくれたが、たしかにうまいフグよりもカワハギの肝にやたら感動したのを覚えている。

以来、虎視眈々と魚屋をパトロールしていたんだが、都内ではなかなか丸のままのカワハギに当たらない。見つかったとしても財布の紐がゆるまないお値段だったが、引っ越して早々、そのチャンスはあっさり転がり込んできた。どうやらこのあたりではカワハギがメジャーな魚らしく、そこまで大きくはないが一尾500円くらいで売っている。いまだ仮住まいで悶々と暮らす日々に少しだけ光が差した気分だ。

カワハギをさばく

カワハギ

カワハギもウマヅラハギも基本的に捌き方は同じだ。頭からはえる角のような突起の付け根から胸びれに向かって垂直に、骨にあたるまでざっくり包丁を入れ、胸びれから肛門に向かって皮に浅く切れ目を入れたら、両手でゆっくりと頭と胴体を引きちぎると、内臓と肝がごっそりとれる。

カワハギ

肝が頭にくっついているので、ヒレにそって包丁をいれると比較的きれいに内臓が剥がれる。肝に血が回っている場合は、血筋に包丁を入れ、氷水に15分ほど浸して血抜きするが、気にならなければそのままでよし。

カワハギ

胴体に戻ろう。腹の血合いの部分はやや厚い膜に覆われているので、骨にそって膜を割き、歯ブラシや骨抜きなどできれいに掃除する。

カワハギ

本日のメインイベント、皮はぎ。カワハギはご存知のように二枚の皮に覆われていて、外側の皮は固くておよそ食用には向かない。
腹のあたりから包丁か爪で皮を引っかけて、手でバリバリと剥いていくが、これがなんとも快感なのである。

カワハギ

穴を開けることなく皮を剥けたときの達成感。もったいないので何かに使えないだろうか模索しているが、猫でさえそっぽを向く始末。

カワハギ

ここまできたら、三枚おろしにして柵にとる。やりかたはアジとなんらかわりない。今回は刺身にするので、薄皮も引いておこう。
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本カワハギ(左)とウマヅラハギ(右)

肝醤油がうまい、カワハギの刺身

カワハギ

まずは肝醤油の準備だ。肝はすり潰してあらかじめ醤油に混ぜておくやり方や、ひと口サイズに切って醤油に漬けるなどいろいろあると思うが、個人的には後者が好み。

カワハギは薄切りにして、肝醤油を添える。
まずはポン酢で、純粋に身の弾力を楽しむ。普通に、うまい。臭みもなく、目隠ししたらフグと間違えるかもしれん。素っ気ない味気も歯応えもフグと似ているなんて言ったら、きっとフグ喰いにお叱りを受けるだろう。それにしても昨今は養殖モノでさえ諭吉が飛んでいくフグよりワンコインで買えるカワハギのほうが好感が持てるのは私だけだろうか?

次に、濃口醤油をつけた肝を巻き込んで口に入れると、こりゃもうポン酢には戻れない。淡白な白身が濃厚な脂をまとってまったく次元の違う食べ物に。カワハギのポテンシャルたるや、計り知れない。

カワハギの肝あえ

カワハギ

見た目はアレなんだが、通が好むという肝あえ。より漁師飯に近い印象で、釣ったそばからしめて舟上で喰ったらどれほどうまいだろうかと妄想する。
包丁で叩いた肝と、薄切り、もしくは細切りにした身を、まな板の上でざっくりと和え、皿に盛りつけ、醤油をぶっかけて喰う。
いかにも酒飲みが好きそうな珍味といった赴きだが、これを炊きたての白飯にかけるなんてことは是非とも自粛していだきたい。米が進みすぎてヤバイのだ。

ここまでくると、そろそろ釣りでもはじめたらどうかとも思うが、どうもあの動く餌が苦手である。通っている整骨院の先生が釣り好きというので、「練った餌で釣れないものか?」と尋ねてみたが、「無理っすね」と軽く一蹴された。こうなりゃ、次の引っ越しは漁港近くに決まりだな、と睨んでいる。
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カワハギの唐揚げ

カワハギの唐揚げ

数年前、東急ストア五反田店で青森県産の下処理済みのカワハギが売られているのを見て目を見張った。
驚いたのはその大きさで、頭を取り除いた全長が人差し指一本に満たない。

カワハギ

このサイズではいわゆる雑魚の部類にはいってしまうだろうこのカワハギを、捌いて売ってやろうという魚部門の意気込みに粋を感じる。

いつもながら、ここの鮮魚はみな平等にたいへん愛情深く扱われているようで、身も透き通り美しい。三枚おろしにしては食べる部分はあまりに少なくなってしまうので、そのまま唐揚げにすることにした。

これが我ながら上々な出来で、いまでは冬の晩酌には欠かせない存在となっている。包丁も使わず、まな板も汚れず、ただ揚げるだけだが、手抜き感がばれないあたりも優秀である。

去年末に東京から神奈川に引っ越し、ここでも駅前の東急ストアの世話になっており、今年も小さなカワハギを見つけた。どうやら東急ストアには小さなカワハギの特殊ルートがあるのかもしれない。

カワハギの唐揚げ

カワハギの唐揚げ

  1. カワハギは薄塩をして、水分を拭き取っておく。
  2. 薄力粉をつけて余計な粉をはたく。
  3. 中・高温の油で揚げる。小さいのですぐに火がとおるが、尾がパリッとするくらいが目安だ。
  4. 揚げたてのカワハギのポン酢をかけて、好みでネギや大根おろしを添えてできあがり。

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コロナを超えていけ! 2021年おせちの記録

おせち

11月の引っ越し、それによる腰痛の悪化、整骨院通いなどが続き、精根尽き果て泥のように寝込んでいた2020年の年末。今年はもう、おせちをつくるのはやめておこうと諦めていた折に、一本のメールが届く。
「よかったら一緒におせちつくらない?」
いま失業中の元板長H氏からだった。通年なら年末ぎりぎりまで営業で忙しくしているはずだが、今年は暇をもてあましているという。プロからおせちを学ぶ機会なんてそうそうあることじゃないし、それも自宅で手ほどきを受けるなど贅沢この上ない話なので、「いいんですか?」と遠慮するふりをしつつ、ほいほい話に乗ってしまった。


2021年のおせちづくりに立ちはだかったのは、やはりコロナだった。例年なら重箱やタッパーに料理を詰め込んで親戚宅で盛りつけるのが定番だったが、感染者が日に日に増え、飲食の仕方までもがセンシティブな問題になっているなか、はたして重箱をつつき合うのは大丈夫なのだろうか!? 悶々と考えを巡らせたのち、やはり別盛りこそ感染防止対策になるのではないか、という結論に至る。

そこでまず、100円ショップに足を運ぶ。小さなプラスチック製の重箱が150円だ。安いし、一人分として大きさも手ごろ。問題は、おせちを食べ終えたあとに、この食器をどう保管するかである。正直、来年まで大事にとっておきたい代物ではなく、かといって使い捨てるのも気がひける。数回かよって眺めてみたが、「きっとゴミになるに違いない」し、家人も「風情がない」と顔をしかめるので、プランBに舵を切る。

竹製の使い捨て弁当箱はどうだろう? その昔、母がおにぎりを竹の皮に包んでもたせてくれた。「にほん昔話みたい」と友人にはバカにされたが、竹の皮ならおせちの雰囲気も壊さないし、コロナには勝てないだろうが殺菌効果も期待できる。

12月28日に筑地へ食材の調達。折り詰め屋にも立ち寄り、ひとつ270円の竹皮の弁当箱を7つ買い求めた。


おせちづくり当日。
結局のところ、H氏は調理場という台所に立ったとたんに職人スイッチが入ってしまい、おせちづくりは思い描いていたほのぼの料理教室とはほど遠いものだった。「おせちは段取りとスピードだ! メモなんかとってる場合じゃない」と言い放たれ、私はただただ野菜の皮を剥きまくり、がむしゃらに鍋や皿を洗いまくっている横目で、怒濤のように煮たり焼いたりされていく食材たち。これはこれでなかなかよい経験だったが、全てが終わったときには立てないほど腰が逝っていた。

一人用おせちは家族の評判もすこぶるよく、「年一度と言わず、季節ごとにこういう食事がしたいなぁ」とリクエストされるものの、「いやいや、こんなもの一人じゃつくれませんから」とネタ晴らしをしてお茶を濁すほかなかった。

来年は重箱に詰める通常の正月が迎えられることを願いつつ、今年のおせちを振り返ってみたい。メモをとれないどころか、写真もほとんどなく、記憶を辿りながらつらつら書いてみたい。

2021年おせちの献立

  • 浜吸い
  • 日の出蒲鉾(小袖蒲鉾)
  • 田作り
  • 銀杏酒炒り
  • 海老艶煮
  • 鮑西京漬け
  • 裏白椎茸
  • がめ煮
  • 焼き豆腐含ませ
  • 頭芋(海老芋)松風焼き
  • 花びら百合根
  • 紅白酢蓮根
  • ちしゃとう西京漬け

2021年お節の記録

12月28日:筑地で買い出し&献立の整理

筑地へ繰り出し、買い出し。海老、あわび、はまぐりなど海産物をはじめ、いつも足りなくなる鰹節(秋山商店)や昆布(有限会社フナミ)、粒西京味噌などの調味料(北島商店)、正月らしく「寿」の焼き印がはいった干し椎茸やケシの実(つきじ味幸堂)、蒲鉾や田作り(野田屋)などを巡る。海老芋や百合根などの野菜を豊吉で仕入れたころには、布製のスーツケースはパンパンに膨れあがってしまった。
帰宅後、海産物は次のように処理。

  • :
海水を浸した新聞紙に包んで冷蔵庫で保存。
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アワビは冷蔵保存
  • 海老:
背わたをとり、サランラップを敷いたバットに並べ、さらにラップを空気を抜くようにしてかぶせる。(背わたをとって冷凍しないと色が悪くなる)
  • ハマグリ:
ラップを敷いたバットに並べてぴっちり上からラップをかけて冷凍。
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エビとハマグリは冷凍保存
  • 生椎茸
:軸をとり、笠を菜箸で叩いくようにしてゴミを落としたら、ヒダの部分を天にして、なるべく重ならないようにして寒い所に保管する。
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シイタケの保存

12月29日:筑地で買いそびれた食材の調達

  • 干し椎茸:
たっぷりの水に砂糖少々を加えて一晩戻す。
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寿の焼き印いりの干しシイタケ

12月30〜31日:お節づくり

おせち

浜吸い

浜吸い
一人分の吸い物は8せき、144cc。人数分より多めの水(10人分)に、昆布、ハマグリを入れて口を開ける。ハマグリが少なかったのか、水が多すぎたのか、味が薄くなってしまったので、追い鰹して、漉す。塩と10人分に対して薄口一滴で調味。塩は水の量から割り出してスプーンで入れる。
菜の花は湯がいて、地につけておく。

元旦当日、ハマグリの貝を合わせてお椀におく。地につけた菜の花とともに出汁で温め、柚子を添えて、汁をはる。

日の出蒲鉾(市販の小袖蒲鉾を使用)

刃先を蒲鉾の奥から半分くらい入れて、刃先が蒲鉾板に届いたら、刃先を押さえて(固定させて)左右に震わせるようにして切ると、日の出模様になる。

おつまみ風パリパリ田作り

フライパンで焦がさないよう魚を煎って、パリパリになったら火から下ろし、砂糖を二つまみほどパラパラふって馴染ませる。

銀杏酒煎り

あらかじめ殻をとってある、薄皮つきを購入。銀杏を重曹水に入れて火にかけて、常にお玉の背で転がすようにして薄皮を取り除く。力を入れすぎると実が潰れてしまうので注意。

水にさらして、取り切れなかった薄皮も取り除く。

炊いた米一握りと水を火にかけて、銀杏を加えてもちっと柔らかくなるまで煮たら、また水にさらす。

酒ひたひたに海水くらいの塩を加えて、銀杏を加えて、水分が蒸発するまで炒る。
冷めたら、串に刺す。

海老艶煮

エビの艶煮
背腸をとって、爪楊枝で「つ」文字にとめる。
薄口:みりん:酒を1:2:3で合わせて、沸騰したところに海老を加えて火を通したら、ザルにひきあげて余熱で火を入れる。煮汁をややにつめて、海老にからませる。

アワビ酒蒸しからの西京漬

アワビを洗って、昆布、水、酒、大根とその皮で煮る。鍋肌に灰汁がつくので、常に布巾で拭う。小さめの鮑だったので、2〜3時間で柔らかく戻った。

貝から身を外して、肝と口をとり、
さざなみ切りする(タコやアワビに使える切り方。刃先を寝かせて削ぎ切り→刃先を立てるを繰り返し)。

粒西京味噌に同量の酒とみりんでマヨネーズくらいの固さにのばす。バットに塗って、キッチンペーパーをしき、アワビを重ならないよう載せてペーパーで蓋をしてさらに味噌をのっけて1日冷蔵庫で寝かせる。
アワビの殻に盛りつける。

裏白椎茸

海老真薯をつくる(芝海老の冷凍むき身を購入)。
玉ねぎ1/2個ほどを少量のバターで炒めて粗熱をとる。
芝海老を水にさらして解凍し、背腸をひとつづつとる。水分をとったら、包丁の腹で叩き、すり鉢に移して腰が出るまで摩る。卵白を加えてすり、塩、薄口、かくしみりんを加えてさらにする。
卵の素(卵黄1個につき油36ccをゆっくりと注ぎつつ乳化させたもの)を加える。
玉ねぎを加えて混ぜたら、ラップに挟んで冷蔵庫へ。

椎茸の笠はごく細かい鹿の子に隠し包丁を入れる。
笠のうちがわに刷毛で薄力粉を薄くまぶして、真薯をたっぷりと詰め、蒸す。

粗熱が取れたら、2個ずつ串に刺して、表に幽庵地を塗りながら、直火で焼く。
半分に切って、表と裏を合わせて盛り付ける。
時間があればパン粉で揚げるバージョンもやりたかった。

がめ煮

干し椎茸
:たっぷりの水に少量の砂糖を加え、一晩椎茸をもどす。
椎茸の戻し汁の上澄、昆布、酒、砂糖、濃口醤油で強火で煮詰めていく。

京にんじん:梅にんじんと乱切りのにんじんを用意。
出汁、薄口、みりんで煮て、火が通ったら味を含ませる。
12:1:1くらいか。

ごぼう:乱切りにして、ぬかをいれた湯で茹でて、柔らかくなったら水にさらしてぬかをきれいに取り除く。

蓮根花蓮根に切る。蓮根の穴と穴の間を包丁でVの字に切れ目を入れる。穴の周りを皮の中心から切れ目に向かって、穴に沿うよう、かつ丸みを帯びるように皮をむき、輪切りにする。

歯応えが残るようした茹でする。

タケノコ:水煮を購入したので、臭味をとるためにさっと下茹でし、乱切り。

タケノコ と蓮根は白さが残るよう、出汁、薄口醤油、みりんで煮る。

こんにゃく:縦三等分に切って、蛇腹こんにゃくに包丁を入れ、一口大にそろえ、茹でる。

鶏肉
:一口大にきる。
鶏肉を少量の油でいためて、こんにゃく、ごぼうも加え、出汁、醤油、みりん、酒で味を整える。12:1:1くらいから、10:1:1くらいに煮詰めるイメージか。

きぬさや
:さやを取り除いて、熱湯でさっと茹でて、熱いうちに塩をひとつまみふる。

きぬさや以外のすべての煮物は、31日にもう一度火入れしてから常温に戻し、弁当箱に詰める。

焼き豆腐含ませ

出汁:みりん:濃口醤油を8:1:1の割合で沸かし、適当に包丁を入れた焼き豆腐を強火で煮ていく。ちょうどいい味付けまで煮詰まったら、火を止めて含ませる。

海老芋松風焼き

天地を切り落とし、六方に皮を剥き、縦に二つ割りにし、面取りする。繊維が残ると食感が悪くなるので、切り口に艶がでるよう、厚めに、尻のほうからひと息でしっかりむくこと。
米のとぎ汁で芋を湯がき、柔らかくなったら水に晒す。

ごく薄い味付け(出汁20 薄口0.1 みりん1 酒1 に塩と砂糖を少々くらいか?)で煮て、落としラップをして一晩味を含ませる。

酒、みりん、濃口醤油の三同割を合わせたたれに、地から引き揚げた芋がすっかり隠れるまで1時間つける。

金串に末広がりに刺して、松の実を表面に振りかけ、直火であぶる。

花びら百合根

花びら百合根と紅白酢蓮根
百合根を花びらの形に包丁し、食紅を加えた水につけて色をつける。包丁を入れたところに赤い色がはいっていく仕組みである。茹でると色が褪せるので、なるべく強めにいれる。
熱湯でさっと茹でて、甘酢につける。
★甘酢は
水14 穀物酢7 砂糖522g 塩38g 昆布少々を加えて、さっと沸騰させる。

紅白酢蓮根

花蓮根に包丁して、縦半分に切る。花びらのほうに細かく隠し包丁をいれながら、適当な厚さに切って、食紅を加えた水に逆さに並べる。包丁をいれたところが赤く染まる。
歯応えがのこるようにゆがいて、甘酢につける。

ちしゃとう西京漬け

ちしゃとうの西京漬け
適当な長さに切って、厚めに桂むきをする。繊維が残らないように、艶よくむく。さっと茹でて、西京味噌を同量のみりんと酒でのばしたものに漬ける。
斜めに切って門松に見立て盛りつける。

おせち

出来上がった料理を並べ、竹の弁当箱に詰める。

食品ロスに挑む、皮ごと真っ赤な紅玉のコンポート

紅玉のコンポート

浅間りんご農園から紅玉が、文字通り"山ほど"送られてきたので、新鮮なうちに煮ておくことにした。

リンゴを皮ごと煮ると皮がやや口に残るので、剥いた皮だけをキッチンペーパーに包んで、実と一緒に煮ると淡いピンクに染まりとてもきれいだ。が、結局その皮は捨てることになる。これまであまり気にしたことがなかったが、今年は生ゴミコンポストに挑戦したことも相まって、とにかくゴミを減らしたいという思いに駆られていた。巷では食品ロス対策も盛りあがっているし、皮と実の間がいちばんうまいという説は果物の常である。

なんとか皮も一緒に美味しく食べる方法はないものか?
戯れに皮を刻んで、白ワインといっしょに粉砕してみるとラズベリーのような鮮やかに発色した。これを加えてリンゴを煮れば、圧倒的にロスが少ないじゃないか、と色めきだった。こりゃやってみるしかない。

紅玉のコンポート

皮ごと紅玉のコンポート

材料

紅玉りんご 6個(1564g) 八つ切り
きび砂糖 りんごの重量の40%(625g)
白ワイン 適量(ミルサーがまわる程度の分量)

※しっかり酸味がある紅玉だったのでレモンを省いた。

つくりかた

  • リンゴは八つ切りにして重さを量り、その40%の重量の砂糖を用意。

紅玉のコンポート

  • 皮をむく。

紅玉のコンポート

  • 皮をむきながら、リンゴに砂糖をまぶしながら大鍋に敷き詰めていく。

紅玉のコンポート

  • 皮を刻む。

紅玉のコンポート

  • 皮にごく少量の白ワインを加え、ミルサーで撹拌する。

紅玉のコンポート

  • 砂糖によってリンゴから水分が出たところを見計らって、火をつける。はじめは弱火で。

紅玉のコンポート

  • 水分がたっぷり出たところで、皮を加える。

紅玉のコンポート

  • アクを取り除き、落としぶたをして強火で、好みの固さになるまで煮る。

紅玉のコンポート

  • 煮上がったら、一晩このままおいておく。まだところどころ白っぽいが、一晩たつと真っ赤に染まる。

紅玉のコンポート

さっそくアップルパイを焼いてみると、まさにTheアップルパイな装いに、ひとり悦に入るのであった。皮のおかげか、いつもよりしっかり固まったような気もする。

アップルパイ

腰痛からの便秘が改善! 薬膳的な菊芋と鶏肉の腸活スープ

キクイモと鶏肉のスープ

今年に入って何回目だろう。また腰痛が振り返した。急に寒くなってきたせいかもしれないが、とにかく痛い。
10分でも立って同じ作業をしていれば、腰のあたりがジクジクと痛む。あたり、というのは、もうどこが痛いのか分からなくなっているのだ。気を紛らわせるべく腰をクネクネひねりながらなんとかもちこたえようとするが、ジクジクの痛みがどこか一点に絞られたのちに激痛に変わる。いわく、これは腰痛貯金というものらしいが、そんな貯金はありがたくもなんともないのである。

買い出しに出かけても、大根や油など重たいモノを買ってしまった日にはほうほうのていで帰宅し、しばらくは動けなくなる。貯金が加算されたのか太腿が痺れ、なぜだか上の奥歯や顎まで痛い始末。

一番不便なのは大便の時だ。尻を拭くにも腰は重要だったらしい。手が届かないのだ。たしか元横綱小錦は現役の時、お付きの人に尻を拭ってもらっていたとなにかで聞いたが、私にそんなお付きもいるわけなく、悲鳴をあげながらトイレで孤独に渾身のひねり技を繰り出しているのである。

このような外的痛みに輪をかけて辛いのが、便秘だ。腰を労わるようソロリソロリと歩いてるもんだから、内臓が通常運転していないようだ。
それゆえ腸の動きが滞っているらしく、腹もあんまり減らず、食欲がわかない。

裸で横を向き鏡を見れば、ポッコリと出っ張った腹にゲンナリ。痛みで真っ直ぐに立てないせいもあるが、腰の下あたりの肉が硬くなっている。もちろんこれが筋肉ではないことは明らかだ。

スーパーへ行き、なにが食べたいのかもわからず、痛みを引きずりながら何周めかに見かけたのが朝鮮人参茶。なんだか身体に良さげなオーラは出ている。昔よく同僚が出張土産に朝鮮人参チョコレートを買ってきていたが、味が悪いと大変な不評であった。にもかかわらず土産置き場にいつでも必ず置いてあるという誰も幸せにならない土産であった。
おそらく痛みで思考停止していたのだろう。普段買わないものを買ってしまうという落とし穴にハマる。

キクイモと鶏肉のスープ

案の定、朝鮮人参茶はまずかった。味的には葛根湯とか顆粒パブロンといった生薬。これを湯に溶かして飲むのは修行の趣がある。でもまあ抜き差しならない体調だから、両親が差し入れてくれた菊芋と一緒にチキンスープをこしらえることにした。菊芋はちょっと土臭い香りがするので、参鶏湯のようなものになるに違いないと踏んだのだ。

じっくり煮込んだ朝鮮人参茶入りのチキンスープは思いの外美味しく、当日は食べ切ってしまい、翌々日、次はたっぷりつくって三日三晩食べた。

すると身体が驚きの反応をみせたのだ。
大便が、止まらないのだ。汚い話で申し訳ないが、最初はかなり長めのバナナ型、その次はちょっと下痢気味、その後は小型の奴がでてきた。オイオイ、大丈夫かよと自分でも心配になり、体重計に乗ってみると700gも減っている。

ギョッとして家人にきいてみた。「最近便通どお?」
「なんだか最近、日に二回はトイレ行ってんだけど。痩せちゃうよ、どうしよう」

家人はどちらかと言えば痩せ型かつスポーツオタクなためさらに痩せてしまうのは問題だが、とにかく出るらしい。

同じものを食べているので、原因はこのチキンスープであることは明白だった。
使ったのは、鶏肉、菊芋、エノキダケ朝鮮人参茶、それにナツメやニンニク、生姜といった類のものである。

後調べではあるが、どうやら菊芋にはイヌリン、エノキダケにはビタミンB1や不溶性食物繊維が豊富に含まれており、これが便秘にかなり効いたのだと想像できた。
さらにナツメ(大棗)は、中国では「一日食三棗, 青春永不老(1日に3粒食べるだけで年を取らない)」と言われるほど古来からその効能が珍重されており、今回は血流をよくして内臓の働きを良くして滋養強壮に効いた感じがある。
乾燥ナツメ。そのまま食べてもさしてうまいとは思わないが、スープに入れて鶏肉としっしょに食べるとほのかな甘味がアクセントになって意外と食える! という印象だった。

さらに鶏肉たっぷりなのでタンパク質もコラーゲンも必然的に摂取できるため、体を動かした後に野菜スープでは物足りないという家人でも比較的受け入れやすい仕様に、結果的になっていたというのが事実である。

あともう一つ実践したことがある。腰痛対策ではあるが、テニスボールでのマッサージを始めたのだ。腰、足の付け根、臀部などあちこちにボールを押し当て刺激しているが、一番痛いのはヘソを中心とした腹回りだ。

腰の痛みが酷いので、はじめはうつ伏せになってボールを腹の痛いところに当て、トドのようにのっかっているだけだったが、慣れてくると、足を曲げたり、バタバタさせたり、つま先で床を蹴るようにして腹の下のボールを動かせるようになってきた。
マッサージをした後は、腸がグルグルと音を出して、まさにリブートしたのが感じられる。

結局、スープとマッサージのどちらが効いたのかは定かではないが、健康診断オールAである家人の便の便りがいちばん信憑性がある。
便秘が辛くてお困りの方は、下剤を使う前に、ぜひ試してみていただきたいのだ。

薬膳的な菊芋と鶏肉のスープ

キクイモと鶏肉のスープ

材料

材料をざっと書いてはみたものの、あまり神経質にならずとも問題なし。

鶏もも肉 300g
手羽 8本
菊芋 10個 タワシでよく洗って皮ごとスライス
エノキダケ 1パック みじん切り
乾燥ナツメ 6個
ニンニク 3片
ネギの青いところ 2本分
ショウガ 親指くらいの大きさ2片
大根の端っこ 5cm
朝鮮人参茶 3g×2パック
3.5L

つくりかた

キクイモと鶏肉のスープ

  • 鶏肉は沸騰させた湯にくぐらせて、全体が白くなったら冷水に入れてよく洗う。
  • 鍋に水をはり、鶏肉、ナツメ、ニンニク、ネギ、ショウガ、大根の端っこを加えて煮立たせてアクをとる。弱火に落として朝鮮人参茶を加えたら、蓋をちょこっとずらして2時間煮込む。

キクイモと鶏肉のスープ

  • ほろほろになった鶏肉を取り出して、細かく割く。
  • 鶏肉を戻して、塩で味付けしたら、菊芋とエノキダケを加えて一煮立ちさせたら出来上がり。

キクイモと鶏肉のスープ

ご飯を加えておじやにしたり、ライスヌードルを加えて軽い昼食にしたりと汎用性がある。

キクイモと鶏肉のスープ