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時速1kmの思考

【Amazon Prime】EAT THE WORLD ep2. 小籠包

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マリオ・バターリ(Mario Batali)は手打ちパスタの名人としてNYのイタリアン業界を牽引するシェフだ。豊かな体躯に派手な金髪。皮肉混じりのジョークを交えて豪快に笑う姿は、いかにもイタリア系のおっさんだ。

グリニッジ・ビレッジのバッボ(BABBO)でエメリル・ラガッセを迎えたマリオは、さっそく祖母直伝のラビオリをつくる。ラビオリは皮と具のバランスが重要だと力説するマリオ。太い指で小さなラビオリをていねいに包んでいく。

いわゆる小麦粉の皮で具を包んだ料理は、世界中にある。スペインのエンパナーダ、ロシアのピロシキ、そしてはマリオが愛してやまないのが、中国の小籠包だ。

ラビオリに舌鼓を打ちながら、マリオがおもむろに取り出したのは、上海小籠包ガイドブック(The Shanghai Soup Dumpling Index by Christopher St. Cavish & Ailadi Cortelletti)だ。

小籠包の重量や皮の厚さ、具とスープの割合など、その構成が図解で科学的に分析されている。紹介されているのは、上海で選りすぐられた店ばかりだ。二人は最高の小籠包を食べるべく、上海へ飛ぶ

子牛の脳みそのラビオリ

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丁寧に仔牛の脳みそを潰していくマリオ。滑らかになった脳みそに、飴色になるまで炒めたタマネギ、黒胡椒、パルミジャーノ*1、脳みその20%のリコッタ・チーズを加え、自家製のパスタに包んでいく。

Babbo

110 Waverly Place, New York, NY 10011
http://www.babbonyc.com/

尊客来(Zun Ke Lai

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街中にあふれる中国語に右往左往するものの、ようやくたどりついたのは尊客来、ガイドブックによれば、最高点の小籠包を出すという。上海一の小籠包を決めるポイントは、皮、フィリング(具とスープの量)、独創性だ。

豚肉の小籠包(Xian Rou Tnag Bao)

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まずは、皮の薄さ、皮と具のバランス、弾力性をみようと、レンゲにのせた小籠包をじっくりと観察する二人。皮を少しかじってスープをすする。

「コクがあるな」「少し甘いよな」とさっそく批評が始まる。そして、記念すべき一つ目の小籠包を同時に口に入れる。

「すばらしい」と思わず声を漏らす。

マリオは小籠包を手づかみし、具の重みでその極薄の皮が垂れ下がっている様子を注意深く眺めている。エメリルは小籠包の皮を剥がし、スープの状態を見る。豚の味もしっかりしているし、スープの割合もいいと、気に入った様子だ。

だがそこにマリオが疑問を呈す。「もう少しスープが多い方がよくないか?」

皮の薄さは上海一だと豪語するシェフのグー・ダン・シェン(Gu Dong Sheng)。20年前と変わらない秘伝のレシピでつくられている餡は、その調理も信頼できる家族だけが担当し、門外不出である。

木の麺棒で次々に生地が伸ばされ、目にもとまらぬ早さで小籠包が包まれていく様子に驚く二人。なんせ5秒に一つ、1日に1万6000個、すべて受注生産されるというのだ。肉に混ぜ込んだゼラチン状のスープが、蒸すことで溶け出すという小籠包の仕組みを知り、舌を巻くの二人だった。

尊客来

上海市徐匯区天鑰橋路666号

r.gnavi.co.jp

佳家汤包(JIA JIA TANGBAO)

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次は上海で一番の人気店だ。24席とかなり狭い店内ではあるが、毎日1万2000個が手作りされている。慣れない大衆店のせいか、気を紛らわすようにブラックジョークを連発するマリオ。ほどなく小籠包が運ばれてくる。

カニと豚肉の小籠包(Xie Fen Xian Rou Tnag Bao)

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熱い小籠包をさっそく手で摑むマリオ。皮が厚く、サイズも大きいが、それがこの店の売りでもあるようだ。舌を火傷しながら、エリメルはまたもや小籠包を分解しはじめる。「スープは少ない、豚の風味もあまりしない、繊細さが足りない」と、なかなか辛口な批評だ。

豚肉の小籠包(Chun Xian Rou Tang Bao)

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ここで流暢な英語を話すオーナーのジョウ・チャン(Zhou Qiang)が豚肉の小籠包を運んでくる。小籠包の食べ方が違うと二人に指摘する。

小籠包の正しい食べ方は、皮を少しかじり、スープはすぐには飲まない。スープをレンゲに流し、冷ましてからいただくのだ。

突然のオーナーの登場に、手の平を返したように小籠包を褒めまくる二人。安物のコップでも最高にうまいと、ビールで乾杯をする。

佳家汤包

上海市黄河路90号

www.shanghainavi.com

上海古猗園餐庁(Guyi Garden Restaurant)

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最後に二人が訪れたのが、元祖小籠包を掲げる店だ。店内は客で活気に満ちている。6代目の店主リ・ジャンガン(Li Jiangang)は、約150年前の1871年に考案されたレシピを代々守り続けている。一番人気は豚肉の小籠包だ。20人のスタッフで一日に3〜4万個つくるという。ヒダの数は18と厳密だ。

豚肉の小籠包

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店主が見守るなか、小籠包に口をつける二人。そして、ただ頷く。そして、オーナーもまた頷く。その眼差しは、料理人がだけがわかる互いへの尊敬の念が感じられる。

「ナンバーワンだ!」

皮から溢れ出す豚皮と鶏骨からとったスープが絶品だ。これこそ味の決め手。いろいろ食べてきたけれど、やはり元祖にかなうものはないと太鼓判を押す二人。

小籠包対決

エリメルとマリオは古くからの友人だが、家族旅行も一緒に出かけるほどの仲だ。そして旅の恒例行事のひとつが料理対決なのだ。

場所を厨房に変え、二人の小籠包対決が始まった。市場で買った食材を使い、思い思いの小籠包をつくりはじめる。

だが百戦錬磨の二人も、小籠包を包むとなると、一筋縄ではいかない。まったくうまくいかず、料理長のチェン・ハイ・ユン(Chen Hai Yun)は遠慮なくダメ出しをする。なんとか小籠包を蒸しあげ、スタッフが集まり評論会が始まる。

ウナギ、マッシュルーム、ハーブの小籠包/マリオ作

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エメリルに定番具材の豚肉をとられてしまったので、鰻を使うことにしたマリオ。見た目は正統派の小籠包に仕上がっている。卵白を使ったエリメルに対し、「俺は使わない」と頑なに自分を貫いた小籠包。スタッフには好評だ。

エビ、豚、ナズナの小籠包/エメリル作

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エビ、豚、野菜など、オーソドックスな具材を使っているが、豚足、エビの殻、ハーブなどを使ったクレオール風スープに小籠包をいれるという逆転の発想で勝負する。

だが、スープが美味いものの、肝心の小籠包が薄味だと批評される。「薄味の小籠包とこのスープは最高の相性だ」とからかうマリオ。小籠包を通して親交を深めるシェフたちの笑顔が印象的だ。

この経験を活かして、ラビオリを改良しようと、意気揚々に夜の上海の街を歩くマリオとエメリル。

上海、最高!

上海古猗園餐庁

上海市嘉定区南翔鎮宜公路218号 

http://www.guyigarden.com/

 


小籠包を見ているうちに、食べたくなってしまったので、つくってみることにした。

スープをゼラチン状にして細かく切るという工程があるものの、餡は餃子や焼売のそれとさほど変わらない。

やはり包むのがなかなかに難しかった。ヒダの数を18にそろえようとしてもうまくいかない。不細工なのもいくつかあったが、蒸し上げたら素人ながら小籠包の形にはなっていた。

何でもやってみるものである。なにより外でしか食べられないと思っていた小籠包が家でも食べられると知った家人は大喜びである。

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*1:字幕では「最高のチーズ」となっているが、バターリは「King of Cheese」と言っているので、おそらくパルミジャーノのことだろう