
世間的には七草粥が射程圏内に入ってきた三が日明け。フライングで中華粥となる。
ところで、七草粥の伝統というのは、どれほど令和の日本人に浸透しているのだろう。
実家ではさほど食べた記憶はなく、家人にいたってはボーイスカウトでさんざん野草を強いられた苦い記憶がフラッシュバックするようで、「なんで雑草なんて喰わにゃならんのだ」とかたくなな姿勢を崩さない。東京のスーパーで並ぶ「七草粥セット」を見ては、食べてみたい、いや食べなければいけないんじゃないかとは思っていたが、季節物・縁起物という付加価値をつけられた「いくらなんでもふっかけすぎだろ」と言いたくなる野菜に手を出すことはなかった。
とはいえ粥は好きなのだ。ホテルの朝食会場にはたいがい粥があるので、昔から好んで選んでいた。
そろそろおせちの在庫も一掃したい。今年は二の段を中華風にしたので、これらを集めて中華粥にしてはどうかと虎視眈々狙っていた。
いつも通り、縦長の土鍋で炊いていくが、中国の粥は日本の粥とはちょっと勝手が違う。
日本の粥は生米を水から炊くのに対し、中国は沸騰した湯で炊く。鍋が焦げ付かないよう、あらかじめ米に油をまとわせる点も面白い。常に米が踊っているような火加減で一時間も炊くと、米の輪郭がほろほろに崩れ、花が咲いたようになる。これに塩をひとつまみいれるだけで、はっとするほど旨い。米の味が強い。粥のくせにパンチがある。そもそも構成要素は炒飯と同じではないか。日本の粥が身体を休ませる滋味とすれば、中国の粥は身体を立て直す滋養に焦点を合わせているんじゃないだろうか。

ピータンの鶏もも巻き、チャーシュー、涼拌木耳、数の子、酢蓮、菜花、ザーサイを盛りつける。
冷たいおせちでも、熱々の粥と共に食せば身体も温まるというもの。意外にも、数の子と粥がとても合う。静岡おでんにまぶす魚粉を忍ばせたのも功を奏したのかもしれない。
七草粥当日の1月7日。食糧が底をついたので、熱海のマックスバリューへ出かけると、驚きの光景をみた。七草粥セットが売り切れているではないか。来年こそは七草粥にしてみようか。
中華粥


材料
| 米 | 100cc | |
| 油 | 大さじ1 | ピーナッツ油か米油を使用 |
| 水 | 1.2リットル~ | 蓋をする場合。蓋をしない場合は3リットル必要 |
| 魚粉 | 小さじ2 | お茶パックに包む。中国では干したヒラメ類「大地魚(ターティユイ)」の粉末 |
| 塩 | 少々 |
※蓋に穴が空いていない、縦長の炊飯土鍋を使用。
つくりかた
- 米はさっと洗い、油をまぶしておく。時間があれば2時間~一晩、吸水させるといい。
- 湯が沸いたら、米を加える。再沸騰したら、魚粉を加えて、弱火で1時間超煮る。途中で水が足りなくなれば、その都度足す。
- 魚粉のパックは米があらかた潰れたら取り出しておくこと。 好みの柔らかさになるまで炊く。塩で味を調える。