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時速1kmの思考

空豆とベーコンのクリームパスタ


春はもらってばかりの季節だ。とてもとても、ありがたい。
だが時には、「こんなにもらっても・・・・・・」案件も舞い込んでくる。いや、困っていると言っているわけではなく、圧倒的物量に怯んでいるといったところか。
たとえばタケノコ、フキ、ワラビなど春の山菜系。そして、空豆もそうだ。

空豆は思ったよりずっと足がはやい。どうやら収穫した瞬間から鞘は黒ずんでいくらしく、まぁ肝心の豆は守られてはいるものの、手を出したが最後、ご利用は計画的に、非常に急かされる食材であることは間違いない。

むかし手伝っていた店で出していた「ただ空豆を焼いたやつ」はとにかく女性に大人気だった。この場合、いかに新鮮な豆を手に入れるかにかかっているが、自らの手で「熱っ」と指をおしぼりで冷ましながら鞘をあけ、湯気を吸い込みながら皮をむき、塩をちょんとつけ口に放り込んで日本酒をきゅっとやるのが粋な女、なのかもしれない。

自分の記憶に残る空豆料理といえば、銀座「いしづか」の蜜煮だ。6月下旬だった。細長い皿に数品並ぶ前菜の端っこに、黒ごまを二粒つけた、つやつや濡れたカエルがたたずんでいた。この擬態した空豆は和食のファンタジーだ。もったいなくて最後に食べたが、甘かった。甘いは昔でいう旨いである。

あぁ久しぶりに蜜豆食べたいな。
手元にある鞘は15ほど。平均3粒の豆がはいっているとして、45匹のカエルが並ぶことになる。うーむ、皿の上のカエルの合唱はややホラーめいている。ああいうのは1匹だからこそ風情があるのだ。

焼も蜜も量を稼げないのが、問題である。ひとまず茹でよう。そうして煮え立った塩水に放り込んだ。
みるみるうちに台所は空豆でいっぱいになった。なんだかこの湯がき汁、もったいないな。うちなる貧乏性がうずく。そうだ、このままパスタを茹でてみてはどうか。空豆の香りがパスタにも移るかもしれない。

皮をむいた空豆、ベーコン、バター、生クリーム、ペコリーノ。黒胡椒たっぷり。
45粒などペロリな案件だった。

空豆とベーコンのクリームパスタ

材料

空豆 15鞘ほど 豆を鞘からはずす
ブロックベーコン 6cm 短冊切り
長ネギ 10cm みじん切り
生クリーム 100cc
フェットチーネ 160g ゆで時間は表示時間の30秒前
バター 20g
白ワイン 大さじ3
ペコリーノロマーノ 大さじ4~

つくりかた

  1. 1%の塩を加えた水をたっぷり沸かす。
  2. チーズを削る。
  3. 空豆の目(おはぐろ)を取り除き、その反対側に浅く切り込みを入れたら、2分茹でる。うちわであおいで冷めたら、皮をとる。豆の側面を軽く押してやるとぽろんと皮からはずれる。
  4. 空豆を茹でた湯で、パスタをゆがきはじめる。
  5. バターでネギを炒める(弱火)。しんなりしたらベーコンも加えて焦がさないよう炒め、白ワインを投入。アルコールを飛ばす。
  6. パスタの湯がき汁を100cc加え、弱火で煮る。
  7. 空豆と生クリームを加えてふつふつ沸いたら茹でたパスタを和え、仕上げにチーズを加えて馴染ませる。塩気をチェックして、たっぷり胡椒をふりかける。(ソースが足りない場合は、麺の湯がき汁もしくは水で調整)