家人に合わせて、1日三食をしっかり食べていたところ、完全に重量オーバーだ。腹回りと太腿まわりにでてきた貫禄が否めない。
解せないのは、家人は体重をキープしているどころか、ときどき「痩せたかも」と耳を疑う独白をするのである。
在宅勤務をしている家人に比べれば、日がな一日肉体労働を強いられているのはこちら側であるというのに、解せないにもほどがある。
つくってもつくっても飯が消えていく事実に反して、「家でなにも食べさせてもらってないんじゃないか」という疑惑さえでかねない事態に、戦々兢々とする毎日である。
週末にアイスホッケーと草野球に興じている家人は、基礎代謝がだいぶ高いと見える。健康優良児でありがたい反面、飯をつくる側としては燃費が悪すぎて迷惑な話でもある。
考えてみれば、在宅勤務が始まる前の自分の昼食は、いっぱいのかけうどんだったり、パン一枚とか、そんな程度のものだった。いうまでもなく、晩酌に命をかけている自分にとって、カロリーの摂取はスロースタート気味だ。
それがいまや、寝起きからカツ丼、ラーメン、天ぷら蕎麦にパスタ……トップスピードで走り出してるもんだから、そりゃ肥えるのが自然の摂理である。
「今週は暑くなるから冷やし中華を買っておこう」と提案され、気軽に了承したものの、製麺コーナーから走ったのは、蒟蒻コーナー。いま自分に必要なのは、限りなくカロリーの低い、麺状の蒟蒻なのだ。
見つけたのは紀文の糖質0麺、カロリーにして25calである。常用しているカトキチの冷凍うどんに比べれば割高だが、背に腹は変えられず、カゴに納める。
梅雨の切れ間、ハム、錦糸玉子、トマト、カイワレダイコンを具にした冷やし中華で昼食となった。
家人は小麦粉の麺で、自分は蒟蒻である。みためは、ほぼ遜色ない冷やし中華となった。食べてみると、昔の蒟蒻麺とはまったく違い、蒟蒻独特の臭みはなく、コシはないものの、麺としては成立している。昨今の食品技術には舌を巻くばかりである。しかも茹でなくていいという手軽さもズボラな自分には合っている。
こんな程度では気休めくらいにしかならないだろうが、気休めでもやらないよりましなはずだと自分を慰める。そして、通常の倍速で腹が減ってしまい、柿の種に手が伸びるのだった。問題の元凶は、自分を甘やかしているところにあるようだ。