自粛生活中、人生初のメルカリでタジン鍋を落札した。長谷園のタジン鍋で、「かまどさん」「みそ汁鍋」に続きこれで同社の土鍋は3台目となる。実は発売当初から気にはなっていたものの、当時のタジン鍋ブームにおいては「普通の土鍋でもつくれるじゃないか」と踏ん切りのつかない自分がいて、いつの間にかブームも去ったころにはこの鍋は廃盤になってしまっていた。だから、念願のタジン鍋なのだ。
塩漬けレモンもうまく発酵したし、タジン鍋も届いた。そうなると、王道「鶏肉とジャガイモのタジン」をつくるしかない。今回は骨つきぶつ切りと胸肉を合わせたが、お好みの部位を使ってほしい。
塩レモンの塩分が作り手によってまちまちだろうから、味付けのタイミングはポイントだけれど、北アフリカ版の「肉じゃが」だと思えば誰でも気軽につくれる家庭料理である。
ところでこのタジン鍋、いまさらながら、かなりのすぐれものである。浅い形状はブレゼ(蒸し煮)する料理にはぴったりで、肉はとろとろに軟らかくなる。
ブレゼ(braiser*2)とはフランスの調理法で、あらかじめ肉を焼き付けて、素材がかぶる程度の液体(出汁や水、酒類)を加えて蓋をし、オーブンで時間をかけて加熱する方法で、ひと言でいうと、「蒸し煮」だ。
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角煮なんかもうまく調理できるんじゃないだろうかと、期待は膨らむ。食卓に出しても見栄えはいいし、席を立たずとも各自とりやすいのもポイントが高い。唯一の問題は、とんがり帽子のふたの置き場かもしれない。
鶏肉とジャガイモのタジン
材料
鶏肉(ぶつ切り400g+胸肉) | 558g | |
塩 | 肉の重量の0.8% | |
ニンニク | 4片 | 包丁で叩きつぶす |
ジャガイモ(小) | 8個 | 崩れにくいメイクイーン使用 |
アスパラガス | 8本 | |
タマネギ(大) | 1.5個 | 鍋全体にしけるくらいの分量 |
塩レモン(シトロンコンフィ) | 1個 | |
水 | 300cc 〜 | タマネギの表面が見えるくらいの分量で調整。次の※スパイスを溶かしておく |
※ジンジャーパウダー | 小さじ1 | |
※ターメリック | 小さじ1/2 | もしくはサフラン |
※クミン | 小さじ1 | |
※シナモンパウダー | 小さじ1/2 | |
※胡椒 | 小さじ1 | |
パプリカパウダー | 飾りに少々 | |
パクチー | 少々 |
つくりかた
鶏肉に下味をつけてしばらくおく。
タマネギにオリーブオイルを回しかけて、手でならしておく。
フライパンを熱して、ニンニクと一緒に鶏肉を焼く。ぶつ切りはじっくりとこげ目がつくほど焼いて脂をだして、胸肉はさっと白くなるくらいでいい。ニンニクが焦げそうになったら、タジン鍋にいれてしまおう。
タマネギをしいた鍋に、鶏肉、ニンニク、ジャガイモ、塩レモンを並べる。
水でといたスパイスを、タマネギの表面が見えるくらいに加えたら、点火。沸騰したら蓋をして弱火で1時間蒸し煮する。途中、鶏肉をひっくり返すとスパイスの風味も染み込む。1時間たったら、火を切ってそのまま30分くらい放置しておくのがポイント。煮汁が食材に戻っていくとともに、味もより染み込む。このときもし煮汁の味が薄ければ、塩で調整する。
アスパラガスのような火の通りやすい食材は、食べる10分くらい前に鍋にいれれば十分だ。
もし普通の大きさのジャガイモの皮をむいて、切って使う場合は、1時間も蒸し煮すると煮崩れてしまうこともあるので、鶏肉を煮始めて30分後くらいに時間差で加えたほうがいい。
好みで、パプリカやパクチーなどを散らしてほしい。今回も炊いたキヌアにかけていただく。
さっぱりしているので、お茶漬け感覚でいくらでも食べられてしまうのが、怖い……。