グアムの南部に石窯で焼くおいしいパン屋、ホッヌ ベーカリー(Hotnu Bakery) があるとききつけ、イナラハン村まで車を走らせる。週末の朝は抜けるような青空でこれ以上ないドライブ日和だ。
ピンクのタイル張りの建物を目指して、村のメインストリート(San Jose Ave)をしばらくさまよったが店が見つからない。なんせ週三日営業、営業時間も短いから気合いを入れて早起きしたんだが、まさかの閉店か!? と思いきや、店頭に貼り紙が。もしかしたら Gef Pa'go 、つまり4号線沿いにあるグアム歴史村イナラハン・ゲフパゴ公園で営業しているかもしれない。
ゲフパゴで看板を見つけたものの、本当にここがパン屋なんだろうか!? 奥では井戸端会議をしているうえに完全に野外じゃないか…恐る恐る店に入る。
伝統的なドーム型石窯 Hotnu
「パン? こっちいらっしゃい!」
女性の手招きに誘われ、バナナの皮でできた屋根の小屋に入ると、まず目に飛び込んできたのが大きな石窯だ。
店名にもなっていうホッヌ(Hotnu)とはドーム型の石窯のことで、スペイン入植時代にグアムに伝えられたものだ。きっとこの石窯はチャモロの食文化に大きな変革をもたらしただろう。なかなか年季のはいった石窯だが、こちらは1992年につくられたそうだ。
名物はシナモンロールとココナッツブレッドで、どちらも8ドルという明瞭会計。レシピは店主 Tony Mantanona 氏のオリジナルだという。小さくまるめた生地を発酵し、これを型につめて石窯で10分ほど焼いてできあがるそうだ。
小屋にはまだ湯気がただようパンがずらりと並んでいる。
「オススメはココナッツブレッド。シナモンロールのほうが甘いわよ。大丈夫、明日までもつから両方買ってきなさいよ!」と彼女はどこまでも陽気だ。
手に持ってみるとずっしりとしてほんのり温い。さすがに二人では食べきれないだろう……悩んだあげく、今回はシナモンロールをいただくことにした。
甘じょっぱいグレーズが絶妙なシナモンロール($8)
一口食べて、なぜこのパン屋が人気なのが合点がいった。
パンはもちもち・ふわふわ・しっとりの三拍子。日本人の好きな要素が詰め込まれている。うまく言えないが、どこか懐かしく、素直で、あたたかい味。
そしてシナモンロールにしては生地がさほど甘くなく、私にとってはちょうどいい加減だ。アメリカ人がつくったらこうはいかない。
甘じょっぱいグレーズには塩でも入っているのだろうか? まるでみたらし団子を食べているような絶妙のバランスにハマってしまう。
なによりこの大きさもいい。日本のちぎりパンの要領でついつい手が出る気軽さ。
これはトニーさんに秘伝レシピを教わりたい! この生地なら色々な総菜パンがつくれそうだ。
当日に食べきれなかったので持ち帰り、翌朝レンジで温めなおして食べてみた。少し生地が固くなっていたものの、味は変わらずうまい。でも、生地が固くなるということは、余計な添加物などがはいっていない証拠だ。
ちょっと遠いけどわざわざ買いにいきたくなるベーカリー、週末の朝ごはんにいかがだろう。
Information
Hotnu Bakery
場 所:138 San Jose Avenue Inarajan, Guam
フローレスメモリアルオールドストア&ヒストリーセンター(Flores Memorial Old Store & History Center)
もしくはグアム歴史村 イナラハン・ゲフパゴ公園
(Guam Historical Village at Gef Pa'go Park in Historic Inarajan)
営業時間:水、土、日曜日 10:00-14:00
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