キュウリをはじめ瓜系を毛嫌いしてきたんだが、ついに白瓜が食べられるようになった。40年越しの快挙だ!
瓜嫌いの私でも「おいしい」と感じたその秘密は、雷干しだった。雷干しをすることで独特の臭みが抜け食べやすくなるのだ。
雷干しの難関は、らせん切りだ。芯を抜いた白瓜に割り箸を通し、左手にもった瓜を回しながら少しずつ斜めに、螺旋状に切っていく。
これが基本のやり方だが慣れるまではなかなか難しい。太さは一定にならないし、手が滑って瓜が途中で切れてしまうこともある。
包丁の技術はもちろん、量をこなさなければならないプロの料理人でもそれなりに時間がかかる作業だという。
ところがうちの師匠はいとも簡単にそれをこなしていく。
「よくらせん切りはめんどくさいっていわれるけど、こうやると簡単なんだよ」と、迷いなく瓜に包丁を入れていく。
師匠のやり方はどの本にも載っていないが、不器用でド素人の私でさえ、効率的かつ美しく瓜が螺旋になっていく。料理の技術というよりもはや幾何学の領域に踏み込んだ日本料理の暗黙知がまだまだ埋もれているのかもしれないと思うとなんとも歯がゆい。
この方法なら初心者でも簡単に雷干しができることを保証する。一本98円の白瓜にそこまでするかっ! って気もするが、うまいものを食べるには高級食材を買うか、もしくは手間をかけるの二択に一つなんだと、師匠は豪語する。
白瓜を螺旋切りする
芯をくりぬく。
店ではこういう型で芯を抜くんだが、家ではカニ専用のスプーンとカクテルスプーンで代用している。けっこう使い勝手はよい。
白瓜を雷干しする
白瓜の端に金串をさして干す。
2〜3時間干すと水分がとんでしんなりするので、保存容器にいれて冷蔵庫へ。
雷干しをしておくとそれなりに日持ちもする。このままポリポリかじるの悪くないが、次回はこの白瓜をつかった簡単なつまみを紹介したい。