2018年1月20日/太陽視黄経 300 度
冷ゆることの至りて甚だしきときなれば也(暦便覧)
1月21日。日本中が寒波に襲われ、東京でも初雪。昼ごろから猛烈に降り出した雪はあっという間にテラスのテーブルに積もっていった。ベランダから見える桜の木も白く凍っている。まさにその名の通り、大寒だ。本当に春がやってくるのだろうか、と余計な心配をしてしまう。
そこから数日間は東京も氷点下を記録。都内でも水道管が凍り配管業者は大忙しだったそうだ。それはそれで、この時期の風物詩なのかもしれない。
街に雪が残るなか歯医者へ向かう。誰かが雪かきをしてくれたのだろう。道の脇に盛られた雪以外は、商店街はいつも通りの賑わい。治療を終えてガラスの扉を開けると、5時になろうとしているのにまだ明るい。思わず首をすくめるような風がふくけれど、春が立つまで、あと少しだ。
大寒の八寸
南瓜饅頭と大和まなの揚げ出し(Deep-Fried Pumpkin Dumpling and Yamato Green with Dashi-Broth)
すり潰したカボチャと白玉粉を混ぜて捏ね、丸めて揚げるとテトラポットのような形に膨らむ。薄味の八方出汁で揚げた南京饅頭を煮含めて、奈良の郷土野菜、大和まなを加えて一煮立ちしたらできあがり。南京饅頭は生麩のような食感で、ついつい箸がのびる。
クレソンのお浸し(Boiled Watercress with Dashi-Broth)
冬の葉物野菜が高騰するなか、ここのところ手に入りやすいクレソン。いつも肉と一緒に生のまま食べてしまうけれど、さっと湯がいてお浸しに。フランスでは「健康草」とよばれるほど栄養も豊富だから、付け合わせだけではもったいない。苦味が来たる春を予感させてくれる。
餡かけ自家製豆腐(Homemade Tofu with sticky Sauce)
冬の定番、豆乳とにがりでつくる自家製豆腐。混ぜて蒸すだけなので、本当に簡単。今回はササミの餡をかけたけど、普通の醤油だけでも十分うまいし、なにより温まる。つくりかたはこちらへ。
ビンチョウマグロのマリネ(Marinated Longfin Tuna)
千葉県産のビンチョウマグロ。缶詰などに使われる比較的安い部類のマグロだけど、この淡いピンク色には心ほどかれた。生姜、トマト、レモン、醤油をベースのドレッシングでざっと和えてさっぱり酢の物感覚で仕上げた。
豚こまのエシャレット巻と蟹爪の揚げ物(Deep-Fried Shallot Wrapped with Sliced Pork & Crab Claw)
「エシャレット」と「エシャロット」は似て非なる野菜と知ったのは、一昨年のこと。今回使ったのは後者のエシャレットで、つまりは若いラッキョウである。当時はなんと紛らわしい、かつ卑屈なネーミングなんだ! と憤ったものだが、ラッキョウ嫌いの私でも食べられるのはありがたい。豚こまで巻いて揚げたときに、エシャロットに火が通っていようがいまいが、うまい。「今日は歯ごたえを残したくて」みたいな言い訳もできるナイスな野菜。
ちなみに、エシャレットは見た目はほぼ小さいタマネギで、フレンチ御用達の食材である。