はじめて香港でセイロを手に入れてからはや数年、あまりの使い勝手のよさに、いつのまにか3台に増えてしまい、棚のひとつはセイロで埋まっている。場所はとるしカビも心配、当初は半信半疑で使いはじめたセイロだが、いまや手放せない調理器具になってしまい、もうひとつくらい買い増したいほどである。今日はセイロの魅力を全力で語ってみたい。
セイロは食卓の救世主
なぜセイロの虜になってしまったのか、改めて考えてみた。結論から言ってしまうと、楽で美味いから、という怠け者根性丸出しの理由に尽きた。
蒸しているあいだに他のことができる。
焼く・揚げるなどの調理法はどうしたって火をみていなければいけないが、蒸し料理の場合、蒸しはじめたら蓋をとることもないので、タイマーをセットして放置。その間にもう一品つくったり、おしゃべりしたりと、余裕のある食事を楽しむことができる。
どんなに手抜きをしたって、料理が立派に見えてしまう。
蓋を開けると、湯気と同時に歓声がわくという謎の現象なんだけれど、作り手側としたらこんなに嬉しいことはない。
食材の栄養素も旨みも逃さない。
特に野菜で威力を発揮するように思えるが、茹でるのと違って風味や色素、栄養素が流れ出すことがないのが蒸す最大の利点だ。
デメリットとしては、比較的かさばる調理器具なので収納場所が必要なことだろうか。しかしその点を補って余りあるほどの魅力がセイロにはある。
買う前に知ってほしい
セイロを選ぶポイント
寸法
ある程度の高さがあったほうが、碗もはいるので料理の幅が広がることは間違いない。また、手持ちの平皿がすっぽり入る内径のものを買っておけば、タレに漬け込んだ肉もそのまま蒸すことができる。たとえば、豆豉蒸排骨といった料理だ。
強度
できることなら実物を見て、触って、つくりを確認してから買うことをおすすめする。というのも、木製なのでモノによってはかなり脆く、数回洗っただけで壊れてしまう可能性もあるからだ。
数年前に台湾の迪化街にある永興農具工廠で手に入れたセイロはつくりがすばらしい。
左が永興農具工廠のもので、右が香港製だ。
ご覧いただいてわかるように、永興農具工廠のものはセイロの肝ともいえる食材をのせる部分がしっかりと組んである。またセイロが重なる側面の部分は金属で補強してあるせいか、水洗いしてもそうそうたわんでくることはないようだ。しかも、安い。訪台中いっさい物を買わなかったんだがこちらでまさかの爆買い、スーツケースに勝るとも劣らない嵩張る竹製品の数々を抱えて成田に降り立つことになったが、いい買いものをした。
台湾に比べたら割高だが、日本製でもよさそうなセイロを見つけたので、試してみたい。
春夏秋冬セイロを使い倒せ!
肉を蒸す
セイロにモヤシをしいて、塩と酒で下味をつけた豚バラ肉の薄切りをのせ、3〜5分蒸すだけ。包丁は一切使わない。どうしてもご飯をつくるのがめんどくさいときにつくるんだが、どうやら手抜きに見えないらしい。野菜も段によって変えられるので、飽きることなく年中食べられる。
セイロに蕎麦を盛る
大きなザルに蕎麦をもって大人数で食べようとすると、テーブルの端に座っているお客さんが取りづらいことに気づいた。そこで蕎麦をセイロに三段盛りして分散したところ、みな無理して手を伸ばすことなく食べることが出来た。もちろん蕎麦用のセイロがあればそれにこしたことはないんだが、収納場所を考えてこうなった。
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そんなこんなで、セイロは年中使えるありがたい調理器具だった。迷っているかたは騙されたと思ってぜひ試してほしい。
永興農具工廠
竹製品をはじめ、洒落た鉄製品も見逃せない。カードは使えず現金のみ。