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時速1kmの思考

人生を変えた万能ソース、基本のトマトソースのつくりかた

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私のトマトソースの条件は、「なんにでも使えるソース」であることだ。パスタはもちろんピザ、煮込み、メインディッシュにかける、ときには中東やアフリカ、地中海沿岸なんかの料理もこのトマトソースでつくる。

シンプルなトマトソースは、トマト、塩、水だけを煮込んだものである。これに香味野菜やハーブを加えてオリジナリティを出していくわけだが、いちばんよく見かけるトマトソースは、香味野菜を刻んで炒めて、ソースと一緒に煮込むものだ。でもこのソースはピザには合わないと私は思う。というのも、野菜の歯触りがピザ生地の食感を邪魔するのだ。とはいえ野菜をいれなければいれないで、いまひとつ物足りない。どうしたらシンプルかつ香りのよいソースができるのか。

ご多分に漏れずこれまでいろいろなトマトソースを試してきたわけだけど、たどりついたのが落合務シェフのレシピだった。彼のレシピは、香味野菜を大きく切り、トマトソースに香りだけ移す手法だ。口当たりが滑らかで香りは絶妙、つくりかたも簡単である。

落合務シェフは仕上げにバジルを使っているが、目指すは「なんにでも使えるトマトソース」なので、私はここでハーブは使わないことにしている。料理によってハーブを変えるのだ。たとえば、パスタならバジルやイタリアンパセリ、ピザならオレガノ、煮込みならタイムやローリエなど使えば、同じトマトソースでもがらりと印象が変わる料理になる。これがなんとも愉快でたまらない。

トマトソースは春と夏に2.4kgずつ仕込み、夏と冬はそれをフル活用してゆっくり過ごす。トマトソースは人生のありかたを見直すきっかけをくれた食材なのかもしれない。

なんにでも使える基本のトマトソース

材料

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ホールトマト缶  400g×6缶(2.4kg)  
ニンニク 2片  
タマネギ 1/4個 小さい場合は1/2個
ニンジン 1本  
セロリ 2本 太い場合は1本
オリーブオイル 120cc  
小さじ2+α  
砂糖 小さじ1〜 酸味を和らげる

つくりかた

1. 香味野菜を切る

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セロリとニンニクはたたき、タマネギは四つ切り、ニンジンは縦半分に切る。

2. トマトのヘタと皮を取り除く

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その昔は酸味を抑えるために種も取り除いていたが、種の周りにも栄養があることを考えて省くことにした。

3. トマトを手で潰す

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皮がけっこう残っているのでしっかり取り除く。

4. 深鍋にオリーブオイルを入れて弱火にかけ、ニンニクをいれる。

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5. ニンニクの香りが立ったら、他の香味野菜も入れる。

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6. がちゃがちゃかき回さずにじっくり焼き色をつける

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7. トマトと塩を加える

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油とトマトがまだ分離している状態である。

8. 沸騰したら中弱火で20〜30分煮込む

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ソースの表面にぽこぽこと泡立つくらいをキープする。これによってソースが対流し、トマトとオリーブオイルと馴染んでくる。ときどきかき混ぜてやる。

9. 香味野菜を取り除く

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10. マッシャーで潰す

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トマトの塊がまだ残っているので、ソースを滑らかにしていく。ここで味見をして、酸味が強ければ砂糖を加えるとまろやかになる。塩は実際に料理をつくるときに追加できるので、控え目にしておく。

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ムーランがないのでポテトマッシャーを試したところ、とても具合がいい。潰すとかき混ぜるを同時進行できるのでおすすめだ。

11. さらに10分煮込む

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トマトとオリーブ油はすっかり乳化して、トマトソースの表面にオレンジ色の輪ができている。

12. 瓶詰めして脱気する

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出来上がり

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常温で保存できる。瓶を開けたら冷蔵庫で保存して早めに食べること。特に、瓶の蓋あたりにソースがつくとカビが生えやすい。

香味野菜はチーズをかけて食べちゃいました。
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トマトソースをつくるために
参考になった本

ちゃんと作れるイタリアン

イタリアンの前菜からパスタ、メインディッシュ、デザートまで網羅。初版からすでに10年以上たっているが、かゆいところに手の届いた良書だ。おいしくつくるプロのヒントもおしげなく紹介されており、落合さんの太っ腹には頭がさがる。

ソースブック

世界中のソースを紹介する本書のレシピは300にものぼる。トマトソースだけで、フレンチ風、焼きトマトのソース、生トマトのソース、シチリア風ソースと多岐にわたり、インスピレーションを刺激してくれる。

イタリアマンマのレシピ

北から南まで、本場イタリアの主婦たちがつくる家庭料理を紹介。トマトソースは究極にシンプルで、完熟トマト、塩、水のみである。