- なぜポテトサラダにキュウリが入っているのか?
- 基本のポテトサラダ
- キューカンバー・ヘイトに明るい未来を
なぜポテトサラダに
キュウリが入っているのか?
キュウリが嫌いだ。
どれくらい嫌いかというと、サンドイッチから可及的速やかにキュウリを抜き取ったとしても、キュウリの残り香のするパンはもうアウト。もちろんキュウリの断片が紛れ込んでいようものなら即発狂である。
なによりあの匂いがいけない。どんなにひっそり隠れていようとも忍び寄るその青臭さ。周りの食材への感染力はすさまじく、みじん切りになっていようものなら汚染率は100%だ。
そもそも水分ばかりでたいした栄養なんかないではないか。あんなものはカブトムシにでも食わしておけばいいのだ、と日々憤っているのが「キューカンバー・ヘイト(Cucumber hate)」だ。
我々を一番困らせるのがポテトサラダだ。どこのポテトサラダにもほぼ100%の確率でキュウリが入っているのだ。よりによってなぜキュウリ。他にも選択肢はあるだろうに。仕方なく、ちまちまとキュウリだけを箸でつまみ、皿の端におく。その姿はたいへん奇異に映るようで、「まさかキュウリ嫌い? おいしいよ」と誰もが口をそろえる。閉口してしまうのは、「キュウリに味なんてないじゃん。味噌をつけると最高だ」というヤツ。味がないなら食うな、味噌でも舐めてろこの味オンチと言いたくなる。
そして我々は「好き嫌いの激しいヤツ」「わがままなヤツ」というレッテルを貼られることになる。世間一般にはピーマンやパクチー嫌いは温かい眼差しで受け入れられているというのに、キュウリ嫌いへの風当たりはいまだ強いのが現状なのだ。そんな不条理な世の中に「NO!」を突きつけるのがキューカンバー・ヘイトだ。
飲食店の店主に、なぜポテトサラダにキュウリを入れるのかと尋ねてみると「特に意味はないよ。なんとなく定番じゃない? 彩りもいいし」というあまりに適当な答えが返ってきた。そこで、キュウリを使わずにして、いかにキュウリ好きでも満足できるポテトサラダをつくるかを検討したい。まずはベースとなるポテトサラダについて考えたい。
基本のポテトサラダ
ぶっちゃけ、ジャガイモさえあればポテトサラダはつくれる。とはいえ、「ポテトサラダはサラダなのか問題」は無視できない。サラリーマンが野菜を摂ろうとポテトサラダの小鉢をとるが、それはサラダという名の脂肪と糖なのだとうたう「からだすこやか茶W」のCMだ。そこでジャガイモ+タマネギを基本のポテトサラダにしたい。
材料
ジャガイモ | 2〜3個(300g) | 水分の少ない「ひねもの」がおすすめだ。 |
---|---|---|
タマネギ | 1/4個 | 薄切りにして、塩で殺して水気をよく絞る。 |
調味料 | ||
酢 | 小さじ1〜2 | |
砂糖 | 小さじ1/2 | プロ直伝の隠し味。甘くするのではなく、塩見が引き立ち全体がまろやかになる。 |
塩 | 少々 | |
マヨネーズ | 大さじ2〜3 | 半量以下をヨーグルトにすると爽やかだ。水分が足りなければ牛乳をいれてもいい。 |
胡椒 | 少々 | お好みで |
つくりかた
- ジャガイモを皮ごとゆでる。もちろん蒸してもかまわない。竹串がすっと通るようになったら湯をすて、ジャガイモを鍋に戻して水分を飛ばす。
- タマネギは薄切りにして、塩(分量外)で揉んで水気を絞る。
- 熱いうちにジャガイモの皮を剥き、さっくり潰す。
- ③にタマネギ、酢、砂糖、塩を加えて混ぜ、ここで味見する。「心地よく酢が香り、少し塩気がもの足りないがそのまま食べてもおいしい」くらいが目安だ。
- 粗熱がとれた④にマヨネーズと胡椒を加えて混ぜる。ヨーグルトや牛乳で、好みの食感に近づける。
さて、基本のポテトサラダが出来たので、具を追加しよう。今回はベーコンなどの肉系をいれないものを紹介する。
大根の葉のポテトサラダ(初級★☆☆)
基本のポテトサラダ+大根の葉+ゆで玉子
みじん切りした大根の葉は塩でもみ、水気をよく絞ってから加える。独特のえぐみはなく、歯ごたえもなかなかだ。葉より茎の部分がおいしく感じる。色味も鮮やか。ただ香りの点では、物足りない。
ルッコラのポテトサラダ(初級★☆☆)
基本のポテトサラダ(赤タマネギ使用)+ルッコラ+ゆで玉子
みじん切りしたルッコラを最後にいれる。彩りも鮮やかで、独特の香りが主張しているものの、歯ごたえはない。
きゅうりのキューちゃんのポテトサラダ(中級★★☆)
基本のポテトサラダ+きゅうりのキューちゃん+ニンジン
キュウリは嫌いだが、Qちゃんは大好物(これを言うと非難されるんだが)。漬け汁をよく切ってから入れないと、ポテトサラダの色が悪くなる。歯ごたえはキュウリのそれに近づいてきた。キュウリだから当たり前か。
いぶりがっこのポテトサラダ(中級★★☆)
基本のポテトサラダ(赤タマネギ使用)+いぶりがっこ
燻製の香りとぱりぱりとした歯ごたえが群を抜いている。漬け物をいれるときは、基本のポテトサラダの塩気を控え目に。
古漬けのポテトサラダ(中級★★☆)
基本のポテトサラダ+キュウリの古漬け+ニンジン+和辛子
見た目には完全にキュウリが入っているが、匂いはほぼせず、歯ごたえだけはあるといういいどこ取りのポテトサラダ。
ゴーヤのポテトサラダ(中級★★☆)
基本のポテトサラダ+塩もみしたゴーヤ+ニンジン+ゆで玉子
歯ごたえと彩りはキュウリそのもの。若干の青臭さもあるのでキュウリ入りのポテサラに近づいてきた。
白瓜のポテトサラダ(上級★★★)
基本のポテトサラダ+白瓜+ニンジン+ゆで玉子
キューカンバー・ヘイトの我々は、瓜系全般に反応してしまう。そのレンジは人それぞれだが、私などは西瓜もその範ちゅうなので、白瓜は論外だ。
そこで白瓜は種を取って雷干ししてからいれる。キュウリ臭の原因の多くは、種にあるのだ。詳しくは次の記事に書いた。
この処理でキュウリ臭はだいぶ和らぐ。完璧とまでは言わないが、歯ごたえは完全にキュウリだ。言ってみれば、キュウリ嫌いを克服するためのリハビリ・ポテトサラダといったところだろう。
王道のポテトサラダ(上級★★★)
基本のポテトサラダ+キュウリ+ニンジン+ゆで玉子+ハム
2018年、ついにキュウリを克服したので念願の王道ポテトサラダ。苦節40年は長かった! キュウリは「料亭仕込みのキュウリの塩もみ」を実践しているのでキュウリが主張しすぎることがなく、すばらしい歯触り。
キューカンバー・ヘイトに明るい未来を
キューカンバー・ヘイトの人権を取り戻し、キューカンバー・ヘイトに優しい社会をつくるためにも、我々の努力は続くのだ。同志よ、立ち上がれ!