桜がすっかり満開になったというのに、ここ最近は雨が降ったりやんだり。それでも日本人は、あらゆる言葉を駆使して桜を愛でる。
一筆啓上せしめ候
古歌にいはく
今日見ずは くやしからまし 花ざかり
咲きも残らず 散りもはじめず
和歌や俳句でいう「花」とは、桜のことを表す季語である。つまりこの歌は、
ちょうど桜の見頃、満開ですよ。今見なければ、きっと後悔するよ。だからすぐに見にいらっしゃい、という花見の誘いをしたためた花便り(手紙)だ。
雨が降ろうが槍が振ろうが、やっぱり見ておかないとしっくりこないのが、日本人にとっての桜なのだろう。
どんなに負の要素があろうとも、そこに「美」を見いだしてしまう大和魂のこもった花の言葉を集めてみた。
写真はご近所の御殿山近辺で撮影したものだ。
花の雨(はなのあめ)
桜の花に降る雨、または桜の咲く頃に降る雨のこと。
花曇り(はなぐもり)
桜の咲く頃の曇天のこと。
花冷え(はなびえ)
桜の咲く頃の急激な冷え込みのこと。
花時(はなどき)
桜の花の盛りのころ
花筏(はないかだ)
桜の花が散って花びらが水面を流れていく様子。つまり、晩春にさしかかる。