mogu mogu MOGGY

mogu mogu MOGGY

時速1kmの思考

グアムで食べる、古き良きアメリカ料理 — スリー スクエア(Three Squares)

f:id:Xphi:20170211193248j:plain

 「そろそろチャモロ飯は飽きたよ。いわゆるアメリカンなブランチが食べたいなぁ」

予想通りの展開で笑ってしまう。候補リストのなかから絞り込み、スリースクエア(Three Squares)へ向かうことにした。

まだ新しいのだろう。小ぎれいな平屋の建物は、いかにもアメリカのダイナーといった外観だが、看板に掲げられた白とボルドー色のロゴが妙にシックだ。

店に入るなり、心が躍った。白い壁にヘリンボーン柄のテーブル、天井から垂れ下がる無数の裸電球、そしてバーカウンターを照らす「3つの四角形(Three Squares)」。

右を向くと、3つの四角い窓から活気あふれる厨房の様子が見える。キッチン側の壁は黒板になっており、楽しげなチョークの文字が躍っている。

遊び心が満載で、まさに憧れの部屋といった内装だ。

“さりげない”が心地いい

f:id:Xphi:20170211193611j:plain

席につくと、とびきり明るい声の女の子がやってきた。

「サムです。このテーブルの担当です!」

太めのキャットアイラインをひいた色白で小顔のサムは、小悪魔的魅力に溢れていて、思わずその笑顔に目を惹きつけられる。

こんなに居心地のよい店ならビールで喉を潤したいところだが、車なので断念。メイソンジャーのような今流行りのガラスのタンブラーに入った水が運ばれてきた。薄切りのレモンが入っているのが嬉しい。なんせこう日差しが強いとビタミンCが不足する。

テーブルに置かれた小さなガラス瓶にはバジルの葉がささっている。バジルってところがいい。バジルは適当に枝を切って水に浸けておけば、みるみるうちに成長する。食卓に彩りをそえてくれる名脇役だ。

これみよがしの花でなく、さりげないもてなし心を感じる。

古き良きアメリカ料理

メニューは大きく3つ。スターター(Square One)、バーガー、サンドイッチと朝食(Square Two)、キッチン スペシャル(Square Three)である。

そのほかに、サラダと飲み物、黒板には本日のスペシャルメニューも書かれている。価格は6〜16ドルだ。

デンバーオムレツ(Denver Omelet, $9.50)

f:id:Xphi:20170208213338j:plain

しっかりと焼かれた巨大なオムレツに挟まれているのは、ベーコン、ハム、パプリカ、タマネギ、とどめのチェダーチーズと具沢山。見るからに腹持ちがよさそうである。

デンバーオムレツの起源は19世紀末にまで遡るが、当初は具入りのスクランブルエッグをパンで挟んだ「ウエスタン・サンドイッチ」と呼ばれるものだったという。

西部開拓者たちが身近にある食材でつくったとか、中国の移民が大陸横断鉄道の労働者のために中華オムレツをパンに挟んだとか、イタリアの移民がデンバーの街角で屋台を出したのだとか。

諸説あるものの、1950年代にこのサンドイッチが新聞で紹介されると、朝食の定番としてアメリカ中に広がっていったが、いつしかオムレツだけで提供されるようになり、発祥の地の名を冠してデンバーオムレツと呼ばれるようになった。

どの説が正しいにせよ、ロマン溢れるアメリカの息吹を感じる卵料理じゃないか。その無骨な姿は、古き良きアメリカを体現したひと皿である。

付け合わせは、フライドライスかポテトをお好みで。

フライドチキン&ワッフル(Fried Chicken & Waffle, $11.00)

f:id:Xphi:20170208213614j:plain

このワッフルは実に絶品だ! ワッフルメーカーの購入を検討したいくらい、はまりそうな予感さえする。

一時期、日本でも流行ったワッフルは、生地が甘いえうえに歯にくっつくような噛み応えがあり、好きになれなかった。そういえば、あれはベルギーワッフルだった。

この店のワッフルは、外はカリッと、中はふわふわ。甘さは控え目で、パンケーキに近いから、食事としての役割をしっかり果たしてくれる。

添えられたメープルシロップ、ホイップクリーム、バター、ジャムを組み合わせて楽しんだが、おすすめはやっぱりメープル&バターの王道だ。

フライドチキンは少し残念だった。バリっとハードに揚がった衣の食感は申し分ないが、下味が薄く、スパイシーでもない。ケチャップをつけて食べるのだろうけれど、終始ケチャップを食べている気分になるのだ。ただ、子ども連れも多い店なので、配慮の末の味つけなのかもしれない。

Three Square のひみつ

f:id:Xphi:20170208194857j:plain

店のあちこちを飾る3つの四角形のモチーフ。サムに尋ねてみると、どうやら軍隊の食事に関係がありそうだ。

そもそも英語の慣用句には、 (a) square meal という言葉があるらしい。

Square は square meal の省略形で、「十分な量で栄養のある美味しい食事」という意味合いがある。

たとえば、have three square meals a day で「1日3回食事をする」という意味になる。たしかに店の柱には「Eat Three Square Meals, Breakfast, Lunch, Dinner」と大きく書かれている。店の営業時間は朝8時から夜10時までだから、納得がいく。

でも軍隊とはどういう関係があるだろう。square meal の起源を調べてみると、これまた諸説あるからややこしい。

かつて英国海軍の船員が四角形の木製皿で食事をとっていたからとか、中世に使われていたトレンチャー(trencher)という皿をのせる四角形の木製板が由来だとか、四角いパンの上に食事をのせていただとか……。

いちばん有力な説として、かつてのアメリカ軍では、食事を口に運ぶときに肘の角度を正しく保ちながら、腕で四角形を描くように規則正しく食べる習慣があり、そこから食事のことを Square と呼ぶようになった、というものだ。

マーク・トウェインは、著書『イノセント・アブロード(The Innocents Abroad),1869』のなかで、square meal はカリフォルニアのスラングだと言及している。

34章トルコ風呂のくだりにこうある。

Thier hungry eyes and their lank forms continually suggested one glaring, unsentimental fact-- they wanted what they term in California "a square meal."*1

彼らの飢えた目と痩せ細った身体つきは、明らかに感傷的でない一つの事実を絶えず示していた。つまり、欲しいのは、カリフォルニアで「スクエアミール」と呼ぶものなのだ。

初版が1869年、つまり大陸横断鉄道が開通した年だ。これまた西部開拓時代とともに国中に広がっていった、アメリカ食文化のひとつなのかもしれない。

なんだか混沌としてきた。

とにかくこの「three squares」は、朝・昼・晩としっかり食事をとりましょう、というアメリカの食文化を表す独特の言葉なのだということで、腑に落ちることにしよう。

Information

Three Squares

416 Chalan San Antonio, Tamuning, 96913 Guam

営業時間:月曜日   8:00〜17:00
     火〜日曜日 8:00〜22:00

Facebookはこちら。