mogu mogu MOGGY

mogu mogu MOGGY

時速1kmの思考

泡盛が止まらない! 島らっきょうの胡麻油炒め

https://68.media.tumblr.com/009577157b111b3baefad893cec5a5eb/tumblr_inline_nm5wsrxhxw1qbouyg_1280.jpg

行きつけの沖縄料理店で生まれた一品。もともとは「豚肉と島らっきょうの炒めもの」だったが、あえて豚肉抜きでつくってもらったのが事の始まり。泡盛はもちろん、日本酒もすすむヘルシーな酒菜だ。いつのまにか定番商品になりつつある。

島らっきょうの胡麻油炒め

材料

  1. 島らっきょう  好きなだけ
  2. 出汁醤油    適量
  3. 胡麻油     適量

 つくりかた

  1. 島らっきょうはていねいに洗って泥をとり、固い葉と根を切り落とす。
  2. フライパンで胡麻油を熱し、中火で島らっきょうを炒める。
  3. 仕上げに出汁醤油をさっとふりかけて、皿に盛る。好みで鰹節を添える。

おいしいポイント

島らっきょうは生でも食べられるので、食感を残すようにさっと炒める。

深夜の小腹に効く! 豆腐の卵とじ

https://68.media.tumblr.com/7f3c7e508798e12f6c376eba7c65d355/tumblr_inline_o3tadsTC4v1qbouyg_1280.jpg

あと一品足りないとき、風邪気味のとき、呑んだあと、ダイエット中でも罪悪感なく食べられる最強の酒菜。

使う食材は豆腐と玉子だけ。こんなに経済的なつまみはない。

調理時間は4分弱。これを作りはじめてから冷蔵庫に豆腐は常備するようになった。

冷奴が寒いと感じる季節になったら、こちらにシフトだ。

豆腐の卵とじ

材料

  1. 豆腐    1丁
  2. 卵     1個
  3. 出汁醤油  大さじ1

出汁醤油は鎌田醤油をダース買いしている。麺つゆ、だし巻き玉子、お浸し、ドレッシング、和風パスタなどなんにでも合う万能醤油で、もう手放せない体質になっている。豆腐は、のどごし柔らかな絹ごしをおすすめしたい。

つくりかた

  1. 豆腐を賽の目に切る。
  2. 小鍋に豆腐、出汁醤油を入れ、強火で温め、ぐつぐつ沸いてきたら弱火にする。
  3. 豆腐が温まったら、溶き卵を回しかけて蓋をする。1分ほどしたら火を止めて蒸らす。途中で溶き卵と豆腐を大きくかき混ぜると、よい半熟加減になる。
  4. アサツキや七味唐辛子、海苔など好みの薬味を添える。

おいしいポイント

卵をいかにとろとろ半熟に仕上げるかが、おいしいカギ。火の通りかたは鍋の材質にもよるが、何度かつくっていくうちに、コツがつかめる。

私が使っているのは、ビタクラフトのミニパンセットの浅鍋だ。直径16cmで、豆腐一丁がまんべんなく入る。ただ材質的に火が通りやすいので、玉子をいれたら予断を許さない。浅い土鍋のほうが火の通りが柔らかいかもしれない。

豆腐の卵とじのアレンジバージョン

エノキと豆腐の玉子とじ

https://68.media.tumblr.com/db546c8dc7e5aba512b7cca186b04242/tumblr_inline_oedgaeCenL1qbouyg_1280.jpg

豆腐が半丁しかなかったのでエノキダケをいれてみる。歯ごたえが加わり、腸に良さそうだ。

【Amazon Prime】EAT THE WORLD ep6. 禁断のキューバ

f:id:Xphi:20170223135314p:plain

青い空、色彩豊かなキューバの首都ハバナは、数十年前と変わらない姿だ。

1960年代のカストロ台頭以来、アメリカにとっては近くて遠い国だったキューバ。この国の食文化は政治に大きな影響を受けてきた。限られた食材や道具で人々の胃袋を満たすべく、キューバのシェフは創造性をふるって、独自の食文化を開花させたのだ。50年もの時を経てついに渡航規制が緩和され、いまやキューバは人気の観光国だ。

エメリル・ラガッセと旅するのは、アーロン・サンチェス(Aarón Sanchez)、ラテン料理の世界的な権威だ。二人は現代ケイジャン料理の父、ポール・プルドームの下で共に学んだ、いわば兄弟弟子だ。腹ぺこのふたりは赤いクラッシック・カーに乗り込み、さっそくキューバ料理を食べにいく。

農場から食卓へ

1993年、キューバではパラダールと呼ばれる民家を改装した家族経営のレストランが認可された。なかでも観光客や要人が訪れる人気店が ラ・グアリーダ(La Guarida)、つまり「隠れ家」だ。

頭がもげた石像が迎えるだだっ広い玄関から螺旋階段が上へと続く。老朽化が進み、今にも崩れそうなこの四階建てのアパートには、シェフをはじめすべての従業員が住んでいる。通されたのはかつてスペイン女王も食事をしたという由緒ある部屋だ。色褪せた黄色い壁は写真で埋め尽くされ、国の歴史と家族の絆の強さを感じさせる。オーナーのエンリケ・ヌニェス(Enrique Nunez)は、パラダールを開いた初めてのキューバ人企業家だ。

ここで合流したのが地元の料理記者アラン・グティエレス(Alan Gutierrez)だ。キューバの食文化や歴史について発信しているキューバきっての食通だ。

アランによれば、キューバ中南米で一番農業が発達しているという。都市農園がその最たるものだ。食べることもままなららない時代、なんとか食糧不足を打開しようと、人々は知恵を絞ってきたのだ。それがキューバの魅力になってると、アランは言う。キューバの食文化は、都市農園に支えられてきたのだ。

ロブスターのクリームライス添え(Lagosta con Arroz Cremoso)

f:id:Xphi:20170221152602p:plain

ニンニクソースが利いたクリームライスの上に、ロブスターがのっている。

ロブスターは、キューバの数少ない輸出品のひとつで、観光客以外がたべることは禁じられている。魚介類は価格が高いので、子供の頃は食べたことがないというアランも、思わず携帯で写真を撮る。

ロブスターの出汁で炊いた米、甘い赤ピーマン、ロブスターもプリプリだと、エメリルはご満悦だ。

子豚のロースト(Cohinillo Lechal Confitado)

f:id:Xphi:20170221152643p:plain

母乳だけで育った子豚を焼いてから細かく刻み、それを一日かけて成形するという手間のかかった一品だ。フォークをいれると、ふわっと崩れる。

伝統的だが洗練されている。付け合わせはマッシュされたサツマイモ。ハチミツとオレンジのソースは甘すぎるわけでもなく、すばらしい味わいだとアーロンは絶賛する。

キューバでは、牛肉を処理するには政府の認可が必要だ。そのため一般的には豚肉が好まれる。安く育てられるのも魅力の一つだ。

La Guarida

Concordia No.418 /Gervasio y Escobar. Centro Habana. Ciudad de la Habana. Cuba.
La Guarida | An emblem of Havana

都市農園の秘密

ハバナの約16キロ東にあるコヒマル(Cojimar)は、ヘミングウェイの小説『老人と海』の舞台になった小さな漁村だ。ここではキューバの新鮮な野菜の秘密を探る。

キューバでは、ソ連崩壊後の経済危機により、輸入食糧は途絶え、石油不足によるエネルギー危機も深刻となった。国営の配給店で売っているのは卵やパン、ぎりぎりの生活必需品のみで、陳列棚は慢性的にがらんとしている。食材を調達することが、とても難しい時代があったのだ。

そこで生まれたのが、都市農園だ。平たく言えば家庭菜園のようなものだが、その規模は大きく、どうみても片手間でできるような菜園ではない。アメリカでも流行しているようだが、キューバでは必然的に生まれたのだ。

二人が案内された都市農園は、バナナやマンゴーの木が生い茂るジャングルのような場所だ。クラントロやカチューチャなど、キューバ特産の野菜も植えられている。

畑は使用済みのペットボトルできれいに区画されている。殺虫剤などないキューバ人の知恵だ。ペットボトルに土をいれて作物を囲むと、熱くなった表面と光の反射で害虫が寄りつかないのだという。必要に迫られたとはいえ、最先端の有機農業じゃないか。

カフェ・アヒアコ(Ajiaco Cafe)では都市農園でつくられた新鮮なキューバ野菜を使い、伝統料理を追求している。オープンテラスのレストランは開放感に満ちていて、いわゆる社会主義的なものは感じない。とはいえ、自営業が認可されたのは2014年と、つい最近のことである。

アヒアコ・スープ(Ajiaco Soup)

f:id:Xphi:20170221152139p:plain

キューバの象徴ともいえる料理だ。「アヒ」はピーマン、「アコ」はスープの意味する。ユッカにカボチャにコーン、肉などがたっぷり入っている。小ぶりのコーンは軸付きのままだ。都市農園で育ったクラントロが味の決め手だ。 

ロパビエハ(Ropa Vieja)

f:id:Xphi:20170223152726p:plain

牛肉はほろほろ、しっとりだ。パセリとユッカ、ピーマン、カチューチャなど野菜もたっぷり。カチューチャはキューバの辛くない唐辛子だ。小ぶりだが味は濃い。 

豆の煮込み(Cuban Beans)

f:id:Xphi:20170221152104p:plain

米に豆をのせて、少量の豚の脂をほんの少し垂らして食べるのが、エメリルのオススメだ。豚の脂が米の一粒一粒や豆を包みこみ、思わずハイタッチしてしまううまさだという。だが食後の葉巻と12年もののラム酒も格別だ。

Ajiaco Cafe

Calle 92, #267 entre 5ta y 3ra E, Cojimar, Habana del Este, Cuba.
Inicio - Ajiaco Café

ピロ流ローストポーク

キューバでは豚肉はあらゆる料理に使われる肉の王様だ。アランの紹介で、エメリルとアーロンは養豚場へ向かう。オーナーのピロ・ヌルケス(Piro Nurquez)は、豚を飼育しローストすることに生涯を捧げている。

ピロが豚をローストしている間、二人もそのお返しに料理をすることになった。料理記者のアランも合流し、記念撮影をしながら農場のスタッフたちと楽しそうに料理をするシェフたち。ピロが食前の祈りを捧げ、さぁ食事だ。

カボチャの花のフリット

f:id:Xphi:20170221152242p:plain

まずはアーロンのカボチャの花のフリットが前菜だ。メキシコのご馳走である。何も無駄にしないキューバ人に捧げる一品だ。カボチャの花にチーズやバジルを詰め、小麦粉、卵、パン粉につけて揚げていく。サルサソースにはカチューチャとローストしたトマトを使っている。

ダーティ・ライス(Dirty Rice)

f:id:Xphi:20170221152324p:plain

エメリルはニューオリンズの定番、ダーティライスをキューバ風にアレンジした。通常は鶏レバーを使うが、エメリルは農場の新鮮な豚レバーを細かくして使う。

セロリにタマネギ、キューバのピーマン、パプリカなどの香味野菜とともに、豚レバーを炒めていく。米をいれて、塩を少し、豚のスープとウスターソースで炊きあげる。

豚のモホソース(Lechon con Mojo

f:id:Xphi:20170221152358p:plain

豚の体を洗い、オレンジやオレガノ、ニンニク、黒胡椒でつくったマリネ液を手で塗り込んでいく。これが豚を黄金色に焼き上げる秘密だ。

古パーツからつくった独自のオーブンに入れて、120℃で4時間焼く。その後、手製の焼き台にのせて20分ほど放置して香りをつける。乾いた熱が循環し、皮がパリッと仕上がるのだ。囲炉裏のような上で、燻製しているような状態だ。

豚をスモークしたグァバの葉にのせ、帽子と葉巻で飾るのがピロ流だ。パリパリに焼けた皮は破裂している。切り分けられた肉は見るからにしっとりしていて、美しいピンク色だ。パルミーチという椰子の一種を食べて育った豚は、風味がよいという。 

特別な客へのもてなしの印として、豚の尻尾を差し出されるエメリル。肉は自家製のモホソースをたっぷりかけて食べる。モホはオリーブオイルとニンニク、オレガノ、オレンジなどでつくられる調味料だ。

こんなうまい豚は初めて食べた。味付けも濃すぎず、噛むごとに豚の味が楽しめる。

エメリルの伯父と父も養豚場を経営していた。この匂いや動物とともに育ち、食肉のために豚が処理されていく姿を見ていた幼い頃を思い出し、涙をこぼすエメリル。

今あるものに感謝し、そこから料理を生み出す。すべては時代の必然性からうまれた食の文化なのかもしれないが、創造性を発揮して食べるという行為を楽しむ姿を見ていると、食べるとは人生そのものなのだということを痛感する。

また都市農園の取り組みは、食とはかくあるべきだという原点を、私たちに示しているような気がしてならない。

【Amazon Prime】EAT THE WORLD ep5. 世界一のピザ

f:id:Xphi:20170221133436p:plain

30年来の友人であるナンシー・シルバートン(Nancy Silverton)よれば、世界一のピザ職人はフランコ・ぺぺだという。

ナンシー自身もパン職人だが、ロサンゼルスに開いたピザ専門店モッツァ(MOZZA)は人々の舌を唸らせ、ミシュランを獲得。2014年にはアメリカ最高のシェフに選ばれた。そんな彼女が「完璧だ」と絶讃するピザとはどんなものなのか?

エメリル・ラガッセとナンシーは、世界一のピザの秘密に迫るべく、イタリアはカンパニア地方を旅する。

Mozza LA

la.osteriamozza.com

チェターラのアンチョビ

フランコ・ペペの店は、ナポリから一時間ほど北上したカイアッツォという小さな村にある。彼のピザに使われる食材は、アンチョビ、チーズ、オリーブオイル、トマト、そして小麦粉とシンプルなものだが、どれもカンパニア近辺でとれた、こだわり抜かれた食材だ。

まずはイタリア随一のアンチョビの産地、チェターラ(Cetara)へ向かう。港から目と鼻の先のジョンナロ・マルシアンテ(Gennaro Marciante)の店、アクアパッツァ(Ristorante Acquapazza)で新鮮なアンチョビを食べる。

アンチョビのアクアパッツァ(Alici All'Acqua Pazza)

f:id:Xphi:20170220205216p:plain

食材に自信があるからこそできる、とてもシンプルなアクアパッツァだ。

フライパンにオリーブオイルとトマト、ニンニクを少々、皿いっぱいのアンチョビをいれて、フライパンを振る。白ワインなどは使わず、水だけを加えて煮立たせるだけというシンプルの極み。蓋も閉めない。

イタリアンパセリを少々、塩の代わりにコラトゥーラ(colatura)をスポイトで二杯。漁師の秘密のエッセンス、これが味の決め手だ。

コラトゥーラはカタクチイワシでつくられた魚醤だ。樽にアンチョビと塩を交互に重ね、2〜3年寝かせる。約40キロのアンチョビから4リットル弱ができるという。

コラトゥーラのスパゲッティ(Spaghettie con Colatura)

f:id:Xphi:20170220210306p:plain

シンプルだが味のインパクトは強いという。つくりかたは紹介されていないが、オイルベースのアーリオ・オーリオではないだろうか。パセリとミニトマトコントラストが美しい。

アンチョビのフライ(Alici Fritti)

f:id:Xphi:20170220210531p:plain

残念ながら、こちらもつくりかたがわからない。アンチョビといっても缶詰ではないので、揚げてもしっかりと形が残っているのだろう。

水牛のモッツァレラチーズ

チーズはピザの要だ。フランコは地元で作られる水牛のモッツァレラを使っている。二人が訪れたのは、イル・カソラーレ・チーズ工房(CASEIFICIO IL CASOLARE)だ。

工房を案内するのは、口髭をはやした小太りのチャーミングなチーズ職人のミモ・ラ・ヴェッキア(Mimmo La Vecchia)だ。大きな水槽に浮いている無数のモッツァレラは壮観、いや絶景かな、である。

原料はイタリア原産の地中海水牛のミルクだ。脂肪が多く、リッチでクリーミーな味わい。脂肪もプロテインも普通の牛乳の2倍、つまり栄養価が2倍だと、誇らしげなミモ。ここでは絞って12時間以内の新鮮なミルクが使われている。

凝固したミルクを機械で細かく刻み、特殊な容器に入れて、手で混ぜていく。おからのような見た目で、ぼろぼろとしている。そこに熱湯を加えて木べらでゆっくりかき混ぜていく。チーズがもったりと回転しはじめたら、余分な水を桶で掻き出して捨てる。ここまですべてが手作業だ。

最後にチーズをちぎっていく。このちぎる動作(モッツァッレ)がモッツァレラの由来だ。出来たては「雲を食べたような柔らかさ」だという。

CASEIFICIO IL CASOLARE

12 v. Olivella, Alvignano, CE 81012, Italy
Produzione formaggi - Alvignano - Caserta - Caseificio Il Casolare

オリーブオイル

少し北に車を走らせ、次に訪れたのは、フランコにオリーブオイルを提供しているテッレ・デル・プリンチペ(Terre Del Principe)だ。オーナーのジョヴァンニ・ペトラッツォーリ(Dr. Giovanni Petrazzuoli)は、フランコの幼なじみで、代々オリーブオイルを製造している一族だ。

エクストラバージンオイルは、苦味とスパイシーさのバランスがいい。オリーブオイルをつくるには科学的な知識も必要だが、一番重要なのは、情熱だという。だが伝統も守り、27℃でオイルを絞るという厳密さも併せもつ。

かつてロサンゼルスでフランコがピザの講義をしたとき、彼はオリーブオイルとオリーブを持参したという。それほどフランコにとっては生命線とも言える食材なのだろう。

Bed & wine Terre del Principe

30, S.Prov. SS. Giovanni e Paolo-Campagnano, Squille, Castel Campagnano, CE , 81010, Italy

世界一のピザを食べる

かつてのカイアッツォ(CAIAZZO)は、若者がはなれ高齢化が進み、寂れた村だったという。だがフランコが店を開くと、活気溢れる村に生き返ったのだ。ペペ・イン・グラーニ(Pepe In Grani)は狭い路地に何百人もの行列ができるほどの盛況だ。

禿頭に青縁の洒落たメガネをかけた姿は、ピザ職人というよりもデザイナーのような雰囲気だ。さっそく生地づくりから始まる。

完璧なピザのレシピなどない。あると言う奴はピザを知らない。

これがフランコのピザの秘密だという。なんて勇気づけられる言葉だろう。日々、ピザ生地の配合に四苦八苦している自分には、神のお告げのように聞こえる。

手押し車のような容器にはいったピザ用の小麦粉に、端から水を加えていく。小麦粉で水をせき止めて、ダムをつくり、そこで小麦粉を溶かすように細かく指先を動かすフランコ

そして両手で弧を描くように大きくかき混ぜていく。かなり緩い生地で、どろどろとしている。これが生地の元種(スターター)になる。これにビール酵母を加えていく。

混ぜる範囲をどんどん拡げていき、さらに容器全体を円を描くように、下から上へ持ち上げるようにして両手でかき混ぜていく。

優しく触るんだ。女性だと思ってね。

小麦粉は、ナンシーが普段使っているものより細かく挽かれており、水と混ざると絹のように滑らかだ。イタリアのピザ用小麦粉は、00粉と呼ぶもので、日本ではカプート社のものが有名だ。

これをピザ1枚分づつ成形していくのだが、手の平からぷるんと溢れる生地は、とても柔らかいが弾力がありそうだ。

できあがった生地を台にのせ、丁寧に伸ばしていく。繊細な生地なので、決して叩いてはいけない。よくピザ屋でばんばんと打ち付けているのは、パフォーマンスなのだ。あくまでも、女性を扱うように! だ。

平たく成形した生地の上に、モッツァレラ、ヴェスヴィオ山麓産ピエンノロ種のトマト、カイアッツォのオリーブ、オリーブオイルをかけ、マテーゼ産のオレガノをのせる。

ナポリ窯にいれて、待つこと90秒。美しいコルチョーネが出来ている。窯から取りだし、アンチョビをのせる。風味が損なわれるからアンチョビは焼かないのだ。バジルを飾り、円形状の板にのせた布で底を拭って余計な焦げを拭い、皿に載せる。

イル・ソーレ・ネル・ピアット(El Sole Nel Piatto)

f:id:Xphi:20170221143824p:plain

まさに芸術作品。映像を見ているだけで幸せになる。エメリルとナンシーが三日かけて巡った地元食材が、三位一体となって、1枚のピザが生まれる。ピザにかぶりついたエメリルは、もう言葉がでない。フランコに会えて幸せだと、感激しきりだ。

生地や素材に込められた愛情を味わうんだ。言葉で表せない。

レストランに集まっていた生産者たちに、フランコがピザを振る舞う。手塩にかけた食材が、世界一のピザになるのだ。これ以上の幸せはないだろう。フランコは食材に、そして生産者全員に、敬意を払っているのだ。互いがいるから自分もまた存在している、そんなことを思い出させてくれるピザだった。

まさに完璧な旅立った。世界一のピザを堪能した。

Pepe In Grani

Vicolo S. Giovanni Battista, 3, 81013 Caiazzo CE, Italy

www.pepeingrani.it

【Amazon Prime】EAT THE WORLD ep4. 料理の啓蒙

f:id:Xphi:20170220160145p:plain

エメリル・ラガッセが訪れたのは韓国のソウル。ここで学ぶのは、料理の技術、知識といったものではない。料理の精神世界へと足を踏み入れるのだ。エメリルは、韓国系アメリカ人シェフのダニー・ボウイーンと、エメリルのマネジャーであるシェップ・ゴードンとともに、神の食を巡る旅に出る。

麻浦市場で食べる

活気あふれる麻浦市場では、新鮮な肉や魚、果物などありとあらゆる食材が手にはいるソウルの台所だ。そこに現れたのが料理界の反逆者ダニー・ボウイーン(Danny Bowien)。生まれは韓国だが、養子としてアメリカに渡ったダニーはインスタント料理で育つ。TVでエメリルを見て料理に興味を持った彼は、独学で中華を学び、独自のスタイルの中華を編み出した。ダニーと中華の関係は「レッド・ツェッペリンとブルースに等しい」と称されている。

韓国料理には詳しくないが、ここへ来ると血が騒ぐのが分かるんです

この市場で買った食材は、二階に持っていけば調理してもらえるシステムだ。エメリルはヒラメを捌いてもらうことにした。韓国にも刺身の歴史があり、レタスに刺身とキムチを巻き、チリソースをつけて食べるのが韓国流だ。

メウンタン

f:id:Xphi:20170220160716p:plain

骨ごと厨房に渡した残りのヒラメは、アラで出汁をとった辛い鍋となって登場。韓国風ブイヤベースだ。唐辛子が相当入っているのだろう。真っ赤なスープを器用に白米にかけて食べるエメリル。

焼肉

f:id:Xphi:20170220163828p:plain

韓国といえばはずせないのが焼肉だ。二人は大衆焼肉店に向かう。簡易の椅子がところ狭しと並び、鉄板からもうもうと煙が立ち上る。なにもかもが60年前と変わらず、肉にも味付けをしないので、肉本来の味を楽しめるという。

ここで合流したのがシェップ・ゴードン(Shep Gordon)だ。アリス・クーパージミ・ヘンドリックスジャニス・ジョップリンなどを大ヒットに導いてきた敏腕プロデューサーだ。エメリルにスポットライトを当てたのもシェップである。ダライ・ラマにも食事をつくった経験もあるという多才な初老だ。

「寺では味わえないよなぁ」と肉にかぶりつく面々。そう、明日は、精進料理を学びに寺へ行くのだ。

麻浦農水産物市場

533-1 Seongsan-dong, Mapo-gu, Seoul, Korea

料理と精神世界

ソウルから約270キロ南のプッカミョン(Bukha-Myeon)。紀元632年に創建された白羊寺の僧侶、ジョン・クァン(Jeong Kwan)は古代からの技術を駆使して、料理を振る舞う。

テーブルに並べられた食材は、すべて寺の僧侶たちが育てたものだ。チリペースト、醤油、酢といった調味料もしかり。何年も発酵させた手製の調味料が彼女の隠し味だ。まずは食材に感謝し、神に向かって手を合わせ、料理を始める。

焼き豆腐の漬け物添え、山椒とベリーの漬け物

f:id:Xphi:20170220155546p:plain

エメリル担当の豆腐料理だ。一口大の豆腐を切り、丁寧にすべての面フライパンを焼いている。

干し柿のサラダ

f:id:Xphi:20170220155818p:plain

シェップの担当。干し柿のサラダは彩りに七年物のコチュジャンを使っている。

テンジャンチゲ

f:id:Xphi:20170220155932p:plain

ダニーの担当。専用の器を火にかける。ズッキーニは、包丁でなく、あえてスプーンを使って切っていく。器にいれて、シイタケをさらにいれて沸騰させる。

f:id:Xphi:20170220155457p:plain

テーブルに並べられた美しい精進料理。好きな順番で食べてよいという。なによりも、キムチがとてもうまそうだ。石造りの洞に漬けてあるキムチは、蓮の葉で被って防腐しているという。

彼女にとって料理はバランスが命です
熱い料理は冷たい料理と、甘いものは塩辛いものと、陰と陽の調和なのです。

「これまで情熱や創造性を追い求めてきましたが、精神性も大切だと気づいたのです」と、彼女との出会いで新たな境地に至るエメリルだった。

Baekyangsa Temple (백양사)

english.visitkorea.or.kr

料理はロックだ!

ソウルに戻ったエメリルとダニーが向かったのは、バーミングという地元のレストランだ。この店は、NYにあるダニーの店とスタイルがそっくり。というのも、オーナーのフランチェスコ・チュウ(Francesco Chu)は、ダニーに刺激を受け、そっくりの店をつくってしまったのだ。

二人はシェフのエイ・フーン・チャン(Eui Hoon Chung)、NYにあるダニーの店、Mission Chinese Food NYから来たアンジェラ(Angela Dimayuga)とともに、料理をすることになる。

チキンウィング

f:id:Xphi:20170220155227p:plain

この料理は一晩で100皿は売れるという、開店当時からあるレシピだ。片栗粉を使わずに手羽先をカリッとさせる秘訣をダニーが披露する。

まずは手羽肉を1~2分揚げて肉汁を閉じ込め、冷凍する。すると、鶏皮が膨らむのだ。冷凍庫にいれた炭酸水が爆発する原理だという。

手羽先を高温の油で揚げ、ザルに引き揚げる。同じ鍋で大量の乾燥唐辛子も揚げていく。これを油ごと手羽先にかけ、唐辛子の風味をつける。

中華鍋に戻した手羽先に大量のパウダースパイス(色味からいって花椒のようだ)をかけ、豪快に鍋をふるダニー。もうもうと立ち上る煙とそのスパイスの量に、さすがのエメリルも目を剥く。

皿に盛った手羽先に唐辛子をのせ、さらにスパイスをかけ、アサツキをのせて出来上がりだ。料理をする姿もその料理も、なんともロックな感じ。

言ってみれば、四川料理の辣子鶏(ラーズージー)の手羽先版だろう。見るからに口の中がぴりぴりと痺れそうな一品だが、クセになりそうだ。

BBQシュリンプ

f:id:Xphi:20170220155117p:plain

エメリルも得意料理のBBQシュリンプを披露する。

エビは頭をとって殻を剥く。香味野菜に、エビの殻と頭を炒め、ソースをつくっていく。さまざまな調味料を加えていくが、決めては自家製ウスターソースだ。エビの殻を潰すようにして丁寧にザルで漉していく。エビの殻やミソが凝縮した、美しい赤いソースだ。

熱した中華鍋に下味をつけたエビをいれ、ソースも絡めて炒め上げる。エビを皿にもり、とろみがかったソースをかけてアサツキを散らせば完成だ。

この料理はニューオリンズ名物のBBQシュリンプをエメリル流にアレンジしたものらしいが、エメリルのホームページにレシピがあったので参考になるかもしれない。

emerils.com

Mission Chinese Food

missionchinesefood.com